■背景にある万博の特殊事情

吉村洋文知事
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 未払い問題の被害を訴えるのは、中小の建設業者ばかりだ。その背景に、この万博の特別な事情があった。

 パビリオンは、個性豊かな建築で来場者を楽しませる「万博の華」だ。しかし、開幕が1年半後に迫る2023年8月、建設業者が決まっていた国は全体の1割程度の6カ国だった。短い工期や外国企業との契約を懸念し、日本の大手ゼネコンは海外パビリオンの建設に後ろ向きだった。

 白羽の矢が立ったのは、中小の建設業者だ。大阪府と市や万博協会は急遽、地元・関西の中小の建設業者に協力を求めた。吉村洋文知事が呼びかける。「海外のパビリオンについては時期が非常にタイト。地元・大阪関西の建設の事業者の皆様に、ぜひお力をお借りしたい」。

 建設業者からは「タイトだなと。2024年の建設業界の労働時間の上限規制もある中でどうなるのか。まだ見えない」「アバウトなんですよ、話の内容が。このパビリオンを担当するということをとらまえてからでないと前には進まない……」といった不安の声が相次いだ。それでも、万博の開幕に向けて多くの業者が協力した。

 工期の短さに加え、慣れない外国企業との取り引き。建築問題に詳しい辻岡信也弁護士は、未払い問題の背景についてこう指摘する。「日本の伝統的な仕事の進め方では、ちゃんと最後は見てくださいねという口約束のもとで、物を仕上げていく。今追加工事が発生するけれども、事務作業をしていたら工期に間に合わなくなってしまうからそれは後回し。とにかく工事を完成させよう。ちゃんと物ができれば、お金を払ってもらえるという考え方。それを理解してくれるいつもの元請けさんじゃなかったというのが今回の問題だと思う」。

  日本と外国との仕事をする上での習慣の違いが問題だと指摘。その上で万博協会には、解決に力を尽くしてほしいと話す。「今回お金がもらえなかったがために、キャッシュが回らなくて倒産することはぜひ防止させてあげたい。“特別融資”に財源を使うといいと思う」。

吉村知事「管理するのは難しい。“民民の問題”になる」
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