■他の建設業者も相次ぎ提訴、GL社は「工事分の費用は支払った」と主張
“未払い問題”が確認されているのは、少なくとも11カ国のパビリオンだ。
大阪市内で建設会社を経営する辻本敬吉さんは「月1本リフォーム工事をいただいて(会社を)細々回している。こういう状況なので、積極的に100〜200万からの工事もやらせていただいて、待ってくれている業者さんにちょっとずつでも支払いしていかないと」と話す。
辻本さんの会社は、GL社からの発注でセルビアとドイツのパビリオン工事を担当。あわせて3億2000万円あまりが支払われていないとして、GL社を相手に提訴している。
工事は戸惑うことばかりだった。そのままでは使えない資材が届き、急遽加工する作業を追加することもあった。さらに、「ある日突然、図面が変わっている。階段も鉄骨で(申請を)出している。それがある日突然、木に変わっている。普通の工事だったら、例えば追加変更あった場合、何か問題があった場合はそこで一旦現場を止めて、話し合いをして、お互い確認してから再スタートするが、万博だったので期限が決まっている」(辻本さん、以下同)
GL社の担当者からは「セレモニーに間に合うかどうかとても心配です」「午後6時に仕事を中断することは理解できません」といった連絡が入る。刻一刻と迫る開幕。工期を守るため、追加の工事費の支払いを受けないまま、次の作業に移らざるを得なかった。しかしGL社は、辻本さんたちの追加工事の作業は契約の範ちゅうだとして、「工事分の費用は支払った」と主張している。
「ギリギリになりましたけれども、ちゃんとオープンに間に合うように納めた。僕らはちゃんとやり遂げたのにという気持ちでいっぱい。表現で言ったら、じわじわ死んでいってる感じ。僕が本当に死んだらわかってくれるんですか?って」
GL社は今回の万博で、マルタ、セルビア、ドイツ、ルーマニアパビリオンの工事で元請けを担ったが、それぞれの下請け業者から未払いを訴えられている。
フランス・リヨンで取材に応じたGLイベンツジャパン代表取締役のオリビエ・フェラトン氏は「われわれは大阪で10ほどのパビリオンに携わりました。その大半は高い品質だと認められ、さまざまな賞を受け、クライアントも満足しましたが、現在2、3社とある種の相違があるということです。われわれは100社ほどの下請けと仕事をして、非常にうまくいきましたが、その中の3社と現在係争中でということです」と語った。
日本の建設会社の請求書について「ご覧になったことはありますか?」と聞くと、「ないですね」と答え、請求書に担当者の署名が入っていることについて指摘すると「だから?どうしてそんなことをお聞きになるんです?申し訳ないですが、現在係争中の事案についてここでお話するわけにはいきません。この件については日本の当局にお任せしてあるので、そこで議論されるべき問題です。ですのでコメントは控えさせていただきます」と話した。
背景にある万博の特殊事情
