元大阪・札幌地裁裁判官で、松村法律事務所の内田健太弁護士は、危険運転致死罪が示す「危険」が、一般市民がとらえる「危険」とは乖離(かいり)があると指摘した上で、「制御」についてこう語る。

「制御できるかどうかは、普通に考えたら、例えばこんな高速度で走ったら車が飛び出してきたり、歩行者が飛び出してきたらよけられない。そういう場合を意味する考えが一般的な感覚だと思うが、(危険運転の)立法担当者はそう考えていなかったようで、そういう外部的な事象を一切無視したとしても、飛び出してきたりとか何もない状況であったとしても、進路をはみ出してしまうような速度であったことが必要だというのが元の考えだったようだ」

 つまり今回の場合、たとえ194キロ出ていたとしても、現場は直線道路。制御できなかったとまでは言い切れず、危険運転と断定するには至らないというのが、法律上の解釈だという。

 1審で原告側は、プロレーサーにサーキット場で194キロで運転してもらい、制御ができないことを法廷で証言した。しかし2審では、道路の形状も違い、運転手も、車も違うとして認められなかった。

 いったい何が判断を分けたのか。内田弁護士は「今回、特に雪上ってこともなかったし、カーブが入り組んでいるとか、下り坂だって事情もないとすると、確かに速いけれども、何か進入することを考えなければ、真っすぐ走ることはできたと。そうである以上、『それは危険運転致死傷罪が想定する高速度ではない』というのが、この裁判所の判断だと思う」との見解を示す。

遺族の思い「このまま終わるわけにはいかない」
この記事の写真をみる(10枚)