■警察の捜索打ち切りと失踪者の心理

警察の捜索
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 通報により警察が動いたが、「家を出た2日半後に、警察から『車が見つかった』と連絡が来た。その翌日に20人体制で山を捜索したが、妻は結局見つからなかった。車の指紋などの資料が一通り集められ、基本的にはその日で捜索は打ち切られた。課長からは『バッグなどが出てくれば、また捜索する』と言われた」という。

 失踪と社会の関係性を研究する立教大学社会デザイン研究科の中森弘樹准教授は、「失踪前後の人間関係や、日常の言動、既往歴などから、犯罪事件に巻き込まれたかどうかを“合理的”に判断している。その“合理的”がマジックワードになっていて、その時点で警察のできることをしても、これ以上進展がないと判断されると、捜査が打ち切られる」と説明する。

 置き手紙の存在については、「実は大きな要素だ。失踪する人向けのマニュアルでも、置き手紙は捜されないための手段の1つと言われている。これにより『自分の意思でいなくなった』と明示され、拉致などの犯罪に巻き込まれてはいないという手がかりになる」とした。

■「失踪には“いなくなる側”と“残される側”が必ず存在する」
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