■「失踪には“いなくなる側”と“残される側”が必ず存在する」

中森弘樹准教授
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 失踪者の捜索をめぐっては、「捜される側の権利」を尊重すべきだとの意見もある。中森氏は「失踪には“いなくなる側”と“残される側”が必ず存在する。どこかに1人で移動しても、それはただの移動だ。『いなくなった』と認識する人がいて、初めて失踪は成立する。20年弱にわたって両方の話を聞いたが、両方のことを考える必要がある。そこにはプライベートな問題も絡むが、残された側にできる数少ない行動は『捜すこと』のため、そちらに寄り添う以上は、尊重されてしかるべきだ」とした。

 話を聞いた経験から「よく失踪者は『こわい』と言う。今の時代はSNSも普及しており、失踪後に連絡を取ろうと思えば取れる。しかし、それでも連絡が付かないのは、連絡を返せなかった状況があるからだ。その理由は『こわかった』『怒られる』といった気持ちの強さがあると言う」と語る。「届出があり、警察が行方をつかんだ場合でも、逃げている側からDVやストーカーの被害届が出ている場合、あえて行方を知らせないパターンもある」。

 また、年間8万件というのは「あくまで届出ベースで、表に出ていないが、失踪とみなされる事案はたくさんある」といい、「最悪のケースは自殺で、失踪直前から2〜3日までと言われている。日頃の生活などから、そうしたことが想定できるなら、可及的速やかに警察に届け出て、前後の経緯を詳細に説明することが重要だ」とアドバイスする。

 ヒロシさんは妻の帰りを待っている。「生きているなら、自発的に帰ってきてほしい。それが一番の気持ちだ。カギを持って出て行っているため、入口に『おかえり』と書き置きをしてある。毎日仕事を終えて、家に帰ってくるたび、帰ってきてくれるといいなと思っている」。

(『ABEMA Prime』より)

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