■800件の指摘と「AI神様扱い」の落とし穴
新人へのAI使用禁止に踏み切ったのは、いえらぶGROUPグループ・執行役員の和田健太郎氏だ。期待の新人エンジニアにAIツールを渡して開発を任せたところ、わずか1週間で「できました」と報告があったが、その中身を確認した際に異変に気付いたという。「いろいろなタイミングでチェックをしたが、どうも様子がおかしかった。『理解してる感じがしない』と思い確認したら、800件以上の指摘が積み重なっていて『これはマズい』と思った。1回、AIを禁止にして仕切り直した方が絶対に早いとなったのが、事の経緯だ」。
和田氏は、AIに指示書(ソースコード)をそのまま新人に投げた結果、制作過程を本人が理解できず、修正点すら分からない状態に陥っていたと分析する。実際に禁止令を受けた入社1年目の中原悠人さんは、当時の心境を振り返る。
「その時はAIが書いたものが正解だと思っていた。(AIは)こんなに間違うのだと、驚きの方が多かった。AIを完全に答えというか、神様扱いしていた」。
その後、同社では教育に注力し、一定のスキルを身につけたタイミングでAIを解禁したところ、着実に生産性が向上したという。中原さんも「シンプルに基礎体力が付いたなと思う。AI禁止期間というものを経て、自分の頭でしっかり考えるようになった、自分の実力が付いたなという感じはしている」と、その効果を実感している。
■言語脳科学者が鳴らす警鐘「人間の一番大事な部分を手放している」
