■言語脳科学者が鳴らす警鐘「人間の一番大事な部分を手放している」
この「AI依存」による弊害について、東京大学大学院教授で言語脳科学を専門とする酒井邦嘉教授は、厳しい見解を示す。
「『AIに頼る』と言った時点で、ものを考える力を身につけるという、たぶん人間に一番大事な部分を手放している。たとえば(大学の)レポートで『なんでこう書いたの』と聞いて『AIが書きました』と言われたらどうしようもない。文章を書くというのは、人間の一番基本的な能力。それを生成AIに置き換えようとすることは、かなり危険」。
さらに現在のAIも、まだ完璧な状態には遠く、そのAIに絶大な信頼を寄せることの危険性も訴える。
「実際、AIがそこまでの能力を持っているわけでもなく、バグもある。実際には画像のように言葉を合成しているのと同じなので、私は『生成AI』という言い方自体、間違っていると考えている。これは『合成AI』だ。今のAIの基本設計は、人間の脳を超すようなものではない」。
酒井氏は、効率性を追求するあまり、徹底的に繰り返して頭に刻み込むプロセスを省くことを疑問視する。
「私は、AIによる効率性そのものも疑問視してるくらい。教育は、繰り返して初めて『NO』だったことも覚える。ちゃちゃっとやって、人より短い時間で覚えても何もいいことはない。徹底的に繰り返しやって、頭に刻み込むプロセスは、人にとって喜びでもある」。
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