将棋の藤井聡太名人(竜王、王位、棋聖、棋王、王将、23)に糸谷哲郎八段(37)が挑戦する第84期名人戦七番勝負が4月8日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で行われている。将棋界の最高峰を決める大舞台でありながら、中継カメラが捉えたのはまさかの対局者“不在”の事態。予想外のシュールな光景に、解説者もファンも大いに盛り上がる一幕があった。
持ち時間各9時間、2日制の長丁場で行われる名人戦。今期は、挑戦者の糸谷八段が初手から独創的な指し回しを見せ、藤井名人にとっても予想できなかったであろうスタートとなった。そのため、盤上の進行は互いに慎重で“ゆっくり”としたものになっている。
糸谷八段と言えば、角換わりを得意とする居飛車党で、少々形勢を損ねても、その類まれな独創性と豪腕ぶりでひっくり返してしまう力強さを持つ棋士だ。日本将棋連盟の常務理事として他業界とのコラボを企画するなど、将棋の普及にも積極的なことで知られる。そんな個性豊かな糸谷八段だが、対局中はテンポを作るためか、頻繁に席を立つことでも有名だ。ファンの間では愛着を込めて“お散歩”と呼ばれており、もちろん遠出するわけではなく、対局室の付近を歩きながら考慮を深めているようだ。
「対局者もいないですし、我々は何を解説すれば…(笑)」




