■「太陽」を地上に再現する 核分裂とは根本的に異なる安全性
核融合とは、太陽の中で起きている反応と同じ原理を地上に再現しようとする試みだ。 具体的には、海水から無尽蔵に取り出せる「重水素」と、リチウムなどから生成される「三重水素(トリチウム)」を合体させ、その際に発生する莫大なエネルギーを利用する。 現状の原子力発電が「核分裂」を利用しているのに対し、核融合はエネルギー効率が4倍以上高く、二酸化炭素は排出されず、高レベル放射性廃棄物もほとんど出ないクリーンさが最大の特徴とされる。
Starlight Engine株式会社・副社長の東氏は、核融合の仕組みと安全性について次のように解説する。
「一番身近なものは太陽。太陽は轟々と燃えているが、あれがまさに核融合の仕組みで、地上に太陽の原理でエネルギーを生み出そうというもの。重水素と三重水素がくっつくとエネルギーが生まれる。それには1億度(まで加熱)が必要で、イメージとしては磁石のN極とN極というくっつかないものを無理やりくっつけるために強いエネルギーがいるようなものだ」。
また、従来の原子力発電(核分裂)との違いについては、廃棄物の側面からその安全性を補足した。「核分裂の場合、高い放射線を帯びたものが出て、処理するのに何万年とかかる。核融合の場合でも原理的に(放射性物質が)出るが、その処理は100年単位なので安全性が一定担保できる。高いレベルの放射性廃棄物が出ない」。
東氏はかつて、全国最年少の市長として大阪府四條畷市で2期8年務めた経歴を持つ。政治の世界から一転、エネルギー開発の最前線へと転身した背景には、市長時代に培った「平和と安定」への強い思いがある。
「この世界の構造を変えていく上で、エネルギーは最重要なものの一つ。市長として、市民と向き合ってきた経験から、みなさんの平和や安定を考えた場合に、この構造を変えていくことに取り組みたいと思った」。
また、「私が今できることは、核融合を修士まで学んできたこと、市長として住民と向き合ってきたこと。ここを兼ね備えた経験を持っている人間は、なかなか日本にいない。社会に実装していく今のフェーズでは、世の中の役に立てるのではないか」と自らの役割を明確にする。
さらには「市長をしていた経験からすると、やはり毎日穏やかに暮らせるのが、政治としては一番。その原因は何か。やはり限られた資源を奪い合っているから、現状が引き起こされている。それを原理的に解決していきたい」とも述べた。
■今は「6合目」、2040年代の実用化は「勝算30%」
