「寂しい、情けない…」子どもの自立で“空の巣症候群”に?「存在価値がわからない」「子どもの分まで買い物してしまう」悩みに識者が助言「寂しさを感じる許可を自分に」

わたしとニュース
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■原因は「目標と役割の喪失」自分の感情を否定せずに受け止めることが大切

臨床心理士・公認心理士の佐瀬りさ氏の見解
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 空の巣症候群を引き起こす原因について、佐瀬氏によると「喪失体験」によるものだという。1つ目は「目標の喪失」で、子育てに全てを注いできた場合「一種の燃え尽き症候群」のようなものが発生してしまうこと。2つ目は「役割の喪失」で、子どもが自分を必要としてくれることに生きる意味を見出しすぎてしまうと、子どもの自立によって自分の役割を見失ってしまうことだという。

 これについて、内田氏も次のように見解を述べる。「やっぱり“喪失”っていろいろな種類があって、それぞれの喪失が喜びや安心感とともに、悲しみなどの様々な感情を含む体験。こういう風に私は感じるべき、自立を喜ばしいものと捉えて、悲しさだったり寂しさだったりを感じてはいけないんだって、そんなルール全くない。やっぱり人生っていろいろなことを、いろいろな場面で感じて、その場合の感情っていうのが1つでないことの方が実は多い。なので、大切なものに対しては、全力で向き合った後、何かを成し遂げたという場面でも、同じような空白が生まれることもあるし、喜ばしい場面であっても、それが喪失でもあるということなのだろう」。

 空の巣症候群では、倦怠感や不眠などの体の不調や、気分の落ち込み、不安、孤独感といった心の不調が表れる場合もある。子どもの自立は嬉しいことだから喜ばなければならないと思い込み、不調の原因が子どもの自立だと結びつかない人も多いという。

「嬉しいはずなのに苦しいっていうギャップがあると、自分でもその辛さに気づきにくいところがあると思う。でもやっぱり人の感情っていうのは、1つの感情を常に感じているわけではない。さらに、こう感じるべきではないって頭で整理できたとしても、実際に感じているものはそれはそれで本物。その感情には必ず意味があるので、だからこそ理由がわからないような不調を感じた時には、それを否定したり押し込めたりするのではなく、大丈夫なはずではあるかもしれないけど、私苦しいんだなと感じて、一度受け止めてあげる。それが一番大切なのではないか」(内田氏)

 佐瀬氏によると、これまでの日本では女性が子育てを中心に担ってきた背景もあり、実感としては女性に多いという。しかし近年は男性も家事や育児に積極的に参加するようになり、今後は男性も空の巣症候群を感じる人が増えてくると考えているそうだ。

 最後に内田氏は「きっと変わってくると思う。育児は目に見えるものだけではなく、いろいろな場面で、いろいろな判断、いろいろな予測をするため、脳の中のエネルギーを使いまくるものなので、そういった経験があればあるほど、それをしなくてもよくなった時に、空白が生まれるのではないかと思うので、どれだけ関わってきたか、どれだけ密接に育児に向き合ってきたかが直接影響してくるのだと思う」と結んだ。

(『わたしとニュース』より)

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