■16年にわたる介護の果てに「残ったのは老化だけ」
石橋さんは、当時について「とにかく大変だった。自分の人生よりもまず母の体調。私が苦しくても、母の体調を優先しないと人手なしになるし、病院からも何か言われる」と振り返った。
周囲の目を気にせざるを得ない状況もあり、施設で入浴する際にアザがあると「虐待ではないか」と確認のための写真を撮られることもあったという。
自治体によっては施設へは「入居待ちが300人、500人とザラにいるのが実情だ」。ケアマネジャーの紹介で施設への入居が決まった際は、「ほっとした。やっと入れたと思った」と語る。
しかし、母親は施設に入居して2カ月で亡くなった。介護生活が幕を閉じた心境については、「心の整理がなかなかできていない。次の目標をどうしようとか、全く計画も立てられず、残ったのは老化だけ。ポジティブにはなれない。疲労というより疲弊だ」。
そして、「16年といったら、生まれた子どもも高校生になる年月だ」と話し、かつて思い描いていた「介護が終わったらフルタイムで働く」という目標も、年齢や気力の減退から「現状は厳しい」と肩を落とした。
現在、石橋さんは、医師からうつ病と診断され、生活保護を受給している。
■「ポストケアラー」が直面する喪失感と健康被害
