さらに、不可解なのが、金庫が見つかった場所だ。酒店から約3.5km離れた山中だった。弘次さんが現場を案内する。「昔ここが田んぼだった。(警察の主張では)父は、そこの田んぼのあぜ道を入ってきて、その辺から登ってきた。(この先は)正直言って獣道しかない」。
金庫が見つかった場所は、そこからさらに山の奥。夜になれば視界はほとんど効かず、足場も悪く、1人で簡単に進める場所ではない。「ここがそうだ。この下に金庫が落ちていた。その辺に木があるが、木の根元に金庫が、ふたが開いた状態で落ちていたそうだ」。
有罪の決め手の1つとなったのが、弘さんが逮捕後、金庫が捨てられていた場所を正確に案内したとされる点だ。「引き当て」と呼ばれる捜査で撮影された、金庫まで案内する様子の証拠写真を不審に感じた弁護団の要請を受け、裁判所が検察にネガフィルムの開示を要請。ネガフィルムを確認すると、警察の調書では、弘さんが来た道を戻っている時に撮った写真を、さも現場まで案内しているように順番を変えて貼っていて、証拠のねつ造ともいえる事態が判明した。
弘次さんは「『金庫を捨てた』と指示している写真があるが、これはいったん下へ降りて、上がってきてから、向きを変えて撮った写真だ。(父は)『警察に怒られた』と言っていた。つまり父は案内できなかった。当たり前ですよね、真犯人じゃないから…」と話す。
弘さんが刑務所で使っていた“遺品”
