なぜ歯医者は突然消えるのか。背景には歯科業界が抱える深刻な経営難がある。
東京八王子で街道沿いに巨大な看板を掲げる、きぬた歯科の羅田泰和院長は「東京は完璧な“レッドオーシャン”。ビルに3軒入っているとかある。ラーメン店と一緒」として「例えば僕の時代は30年前ですけど、大体3000万円あればテナント開業できたんですけど、今は新規で開業すると1億円ぐらいかかる。結局お金が返せなくなって倒産する」と現状について語る。
歯科医院は設備費や建築費の高騰と、開業時点で巨額の借金を背負うケースも珍しくないという。かつて歯医者は「むし歯を削れば成り立つ」時代だったが、子どものむし歯は激減。12歳児の平均むし歯本数はこの30年で4本からおよそ0.6本へと減少している。
もはや虫歯を治す商売ではなくなりつつある歯医者だが、さらに患者の奪い合いによる価格競争も起きている。その中で歯科医院が活路を求めたのが自由診療だ。歯科医の主な自由診療にはインプラント、特殊矯正、マウスピース、ホワイトニング、審美などがあり、保険がきかない自由診療は高額になりやすい。
羅田院長は「歯科の場合は自由診療がいろいろ多岐に渡っているのでありがち。(矯正治療で)55万円はめちゃめちゃ安い。大体矯正って安くても70万円はする。それを『55万円なら安いじゃん』と思って一括払いして、そのまま逃げちゃったという。インプラントも矯正も1つの見極め方として、だまされないようにするためには、あまり安いものに飛びつかないということ」と警鐘を鳴らした。
つまり相場より極端に安い。それ自体が危険なサインかもしれないという。さらに注意すべきなのは「前払い」だとして「全額前払いは危険。要は相手に委ねちゃうので。理想は3分の1ずつや、半額ずつがいいんじゃないか」とした。
夜逃げされた場合、払った金は戻ってくるのか
