トランプ氏 vs 習近平氏の3本勝負
笑顔の裏で3本勝負のゴングが鳴った。第1ラウンドは「貿易・経済」だ。トランプ大統領が北京に連れてきたのは、外交団だけではなかった。Appleのティム・クックCEO、NVIDIAのジェンスン・ファンCEO、Teslaのイーロン・マスクCEOなど、アメリカを代表する巨大ビジネスのキーマンたちを北京に同行させた。
会談での建前は、アメリカ側は「完全に互恵的な関係でこたえるつもりだ」、中国側は「アメリカとの互恵協力の強化を歓迎する」だった。
会談後、トランプ氏は勝ち誇る。「農家の人たちは、とても喜ぶだろう。中国は数十億ドル分の大豆を購入することになる」。さらに中国はボーイングから、航空機200機を購入することで合意したという。大豆と航空機の成果が、中間選挙を控えるトランプ氏のアピール材料となった。
この勝負、アメリカが1本とったかに見える。しかし舛添氏は、「中国はいつも『買う』と言って買わない」と、不確定要素付きの1本だとする。
さらに、ずらりと並んだアメリカの経済人たちの行列に、舛添氏は習氏の計算を読む。「中国がほしいのは、ただ一つ。アメリカの最先端の技術だけ」。さらに「習氏はトランプ氏の足元を見ている。それはズバリ民主主義の弱点だ」とも語る。
米中の第2ラウンドは「イラン情勢」だ。2026年、アメリカはベネズエラ、そしてイランを武力攻撃。共通点はいずれも中国に原油を輸出している国だ。ホルムズ海峡の緊迫は、中国にとっても痛手のはずだ。
会談での建前は、アメリカが「『イランに核は持たせない』『ホルムズ海峡の早期解放』で認識一致」、中国が「『ホルムズ海峡の軍事化』『通行料徴収の試み』に反対」だった。
強気を装ったトランプ氏と、強気を貫いた習氏。舛添氏は「ホルムズ海峡で困っているのは、よその国。中国はあまり困っていない。アメリカが中東で武器を消耗してくれることは、中国にとって願ったりかなったり」と、イラン問題では中国が1本とったと見る。
第3ラウンドは「台湾問題」。密室で習氏は「適切に処理できなければ、米中は非常に危険な状況に陥る」と、強い言葉をトランプ大統領に突きつけたとされる。しかし記者たちが台湾について矢継ぎ早に質問したが、両氏が答えることはなかった。
あの能弁で必要以上のことをしゃべるトランプ氏が、習氏とメディアの前でなぜ無言を貫いたのか。舛添氏は「答えようがなかった」として、台湾問題では中国が1本取った形と見る。しかし、習氏サイドにもアキレス腱とも言える裏の顔があると指摘する。「実は習氏にも表立って言えない事情がある」。
米中首脳会談について国際政治学者が解説
