■「すれ違う時に触られる…」現役音大生が明かす“逃げられない”現状
特に狙われるのは、音大生や卒業したばかりの若手。そうしたことから、通称“音大おじさん”と言われているこの問題。被害の現状について、現役の音大生にも話を聞いた。
「おじさんたちがSNSでDMをめちゃくちゃしつこく送ってくるのは自分も何度かあった。距離が近くても拒否しない・できない女の子と交流したいと思うおじさんも中にはいるのでは」(東京藝大生・Aさん、以下同)
音大おじさんは学内の演奏会にも姿を見せるという。
「50代くらいの男性がホールに入ってきて、急に話しかけられて。『名前なんですか?』『何年生ですか?』『先生は誰ですか?』『高校はどこですか?』と質問攻めにされて。急にポケットの中からアメとみかんが出てきて、『これ食べてください』と言われた。さすがに怖すぎた」
また、音大生仲間にはさらに危険な目にあったという人も…。
「すれ違いざまにちょっと触られたり、自撮り棒をすごく長くステージまで伸ばして、盗撮しようとして問題になった」
さらに、ターゲットは大学生にとどまらない。
「(音大おじさんが)コンクールを見に来たりする。中学生の時から、例えば(コンクールの)結果発表で待っていると話しかけられたりというのはある。一人でいる子に声をかけているのを何度も見たことがある」
しかし、Aさんら音大生には要求を拒否するなど強い姿勢に出られない事情がある。
「実名も顔も学校・学年も、小学校・中学校の時からコンクールを受けているので、小学校・中学校もバレる。名前を検索するだけで。(どこに)住んでいるかもバレるので、少しでも冷たい対応を取ったらネガキャンされるのではと。なので、イヤでも仲良くする必要がある」
そこには、クラシック業界ならではの厳しい現実もある。
「クラシックはお客さんがすごく少ないので、最近はコンクールだけでなく、『顔がかわいい』とか、そういうところで勝負しないとお客さんも来ない。音大おじさんたちも言ってしまえばお客さんだから、いい対応をして我慢して稼ぐしかない現状がある」
ただ、Aさんはこうした現状に納得しているわけではない。
「変な話だが、音大おじさんは次から出てくる若い子を狙うので、またかわいくてうまい子が出てくると、そっちに鞍替えしていく傾向がある。『終わりのない悪夢』というか、結局今もどこかで被害者がいる。『なんでこんなことが当たり前になっているんだろう』と思う」
今回は取材した被害者が女性だったため、中高年男性からの被害を訴える声が多く、“音大おじさん”としている。これに限らず、男子音大生が中高年女性から迷惑行為を受けるなど、別のパターンもあるかもしれない。
「あだ名で呼んでね」バグった距離感でエスカレート
