しかしこの制度には「揺れた論点」があった。それはどんな犯罪歴を対象にするのか。照会対象とされるのが不同意性交罪、不同意わいせつ罪、児童ポルノ禁止法違反、痴漢・盗撮など。一方対象外は下着窃盗、ストーカー規制法違反、示談で不起訴になったケースだ。つまり示談が成立し不起訴になれば、事業者が照会をかけても犯罪事実としては出てこない。「見えない加害者」は制度の隙間に残される結果となった。
そして、もう一つ「揺れた論点」がある。それは誰を対象とするのか。日本版DBSの対象は幼稚園、小中高校、認可保育所、認定こども園、児童福祉施設など。一方、学習塾、スポーツクラブ、認可外保育所などは義務ではなく、国の認定を受けることで制度を利用できる。対象外となったのは、個人事業主の「ベビーシッター・家庭教師・塾」などで、さらに病院・歯科医院などの医療機関も対象外となった。
「職種をもっと幅広くすべきでは」という声も上がったが、職業選択の自由や加害者更生に対する過剰な制約になり得ると、注意が必要だと判断された。一方で日本版DBSでは今後、医療機関も対象とすることを検討するよう求められている。
そこでこども家庭庁は、子どもらの被害実態を初めて調査(全国5000の医療機関が対象。1113機関から有効回答)。アンケートを実施し、医療従事者から患者への性被害行為と判断されたのは、全部で36件。被害にあった患者の年齢層は19歳から39歳が20人で最も多く、13歳から18歳の未成年も1人確認された。
対象外となった“隙間”が、ようやく見え始めているが、仮に医療機関まで対象を広げたとして、果たして被害は防げるのだろうか。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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