■「人は誰でも間違える」慎重な審理を求める必要派の主張
「抗告は必要だ」と考える法律家にも話を聞いた。犯罪被害者を支援する活動を続けている高橋正人弁護士は、「憲法76条第1項には『すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する』と書いてある。憲法上は二審制でいいが、法律で三審制になっているのは、人は間違えるから慎重にやるためだ」と条文をなぞる。
また、現行の運用を引き合いに出し、「死刑の事件は、だいたい裁判員裁判だ。一審で9人、高裁で3人、最高裁小法廷なら5人で合わせて17人、大法廷だと27人になる。27人が三審制で下した判断を、たった3人の裁判官が再審開始請求審で覆す不合理さに、どうして気付かないのか。裁判官も検察官も弁護士も、みんな間違いを起こす」と語る。
そして「我々は同じ司法試験に受かっている、同じ人間だ。弁護士も検察官も裁判官も、みんな同じレベルの中で、なぜ裁判官だけ間違えずに、検察官だけ間違えるのか。それはおかしい」と訴える。「再審開始決定が出た17件に、検察官が不服を申し立て、控訴審で4件がひっくり返った。もし抗告が禁止されたら、4件は“逆冤罪”だ。本当は犯人なのに、犯人ではないことになり、被害者や遺族にとっては権利侵害だ」。
元検事で弁護士の亀井正貴氏は、「地裁と高裁、最高裁の“通常審”で判決が確定する。『再審制度に新たな規定を設ける時に、通常審と違う制度をどうやって設けるのか』が、法務検察の基本的な考え方だ」としながら、「私自身は通常審と同じようにしなくてもいいと思っている」という。
再審開始請求審が非公開なことについては「検察は『再審請求が通り、公判が始まれば、無罪に突っ走る』と考え、請求審を本番と位置づける。私は、非公開でなく国民に開示する必要性があると思うが、請求審は山場だ」と解説する。
また「検察官は、公益の代表ではあるが、やはり捜査機関だ。検察官は再審開始決定が出ても、有罪だと判断する人種。通常審とは違うため、地裁判断を是正した方がいいとは思うが、その後に特別抗告などをダラダラやる必要はない」とした。
■「一番の問題は、抗告ではなく捜査だ」
