11日の参議院文教科学委員会で、立憲民主党の勝部賢志議員が、女子高校生ら2人が亡くなった辺野古沖転覆事故を受けた政府の対応について、松本洋平文科大臣らを激しく追及した。文部科学省が学校側の教育活動を「政治的活動」として教育基本法違反の是正判断を下したことをめぐり議論が白熱、審議が一時ストップする事態となった。
勝部氏はまず、同志社国際高等学校の研修旅行における安全管理の取り組みが著しく不適切であったという文科省の見解について、「私自身も同感であります」と述べ、事故で亡くなった犠牲者や関係者に哀悼の意を表した。しかし、安全管理の問題とは別に、文科省が同校の教育活動を教育基本法第14条2項が禁じる「政治的活動」にあたると文科省として初めて判断したことについては、「いささか問題を感じております」と懸念を表明した。勝部氏は、国家が教育内容に踏み込むことで学校現場に萎縮をもたらし、高校生に対する重要な主権者教育や平和教育、さらには教育の自由そのものが脅かされかねないと危惧し、文科省としての基本的な認識をただした。
これに対し松本大臣は、同法で禁止されている「その他政治的活動」の解釈について、「政治上の主義もしくは施策を推進し、支持し、またはこれに反対するようなことを目的として行われる行為を指すものであり、特定の政党を支持・反対する行為に限られない」と説明。その上で、今回の同志社国際高校の事案については、この「その他政治的活動」に該当すると判断したために違反の見解を示したと述べた。また、今回の判断は所轄庁である京都府と緊密に連携しながら丁寧に事実を積み上げてまとめたものであり、同法第16条が禁じる行政による教育への「不当な支配」には当たらないと言明した。政治的中立の趣旨については「多様な見方や考え方のできる事柄を取り上げる場合、特定の見方や考え方に偏った取り扱いで生徒の主体的な判断を妨げないようにすることであり、政府の立場のみを中立とするようなものではない」との見解を示した。
大臣の答弁を受け、勝部氏は「現実の政治の理解力や公正な批判力を身につける」という政治的教養の教育目的を再確認した上で、辺野古の移設問題を教材に選ぶこと自体に正当性があるのでは、とした。「いろいろな意見や反対の意見、そういう行動もあるという事実を子どもたちに知らしめて、どう答えを出していくのかを考えさせるのは極めて重要な教育だ」と述べ、なぜこれが政治的活動という認定に結びつくのか納得がいかないと迫った。さらに勝部氏は、「教育活動じゃなくて政治的な活動だというなら、それは誰がやったんですか?(船に)乗った子どもたちも抗議活動をしたということですか? 学校が抗議活動を子どもと一緒にやったという認定なんですか?」と、誰を主体として違反認定したのかを厳しく問い詰めた。
松本大臣は「それは、同志社国際高校であり、またそれを管理するべき学校法人同志社に対して、我々としてそうした見解をまとめさせていただいた」と答え、生徒ではなく学校側・法人側による活動を対象とした認定であることを説明した。勝部議員が「学校側が子どもたちに抗議活動をさせたということなんですね。その認定だということは」とさらに確認を求めると、文科省の望月禎局長は、多くの学校職員が政治的活動を行っている「抗議船」であることを承知しながら修学旅行に組み込んでプログラムに載せていたこと、研修旅行のしおりに基地反対派の活動だけを掲載していたこと、(牧師が)開会礼拝で複数年にわたり法令違反を含む抗議活動の説明を全生徒に向けて行っておりこれを学校側が把握していたなどを列挙。「もはや教育活動ではなく政治的活動に当たるのではないかと慎重に判断した」と解説した。
この文科省側の説明に対し、勝部氏は「ちょっと無理があると思いますね。それはあまりにも決めつけてものを見ているんじゃないかなと思うんですよ」と一蹴した。教育は1時間の授業だけで成果が出るものではなく、年間や3年間の高校生活を通して様々な事象に触れながら力を養うものであると反論。
さらに勝部氏は、文科省が学校側の活動を短時間で政治活動だと結論づけた政府の調査を「極めて、結論に導くのに短絡的だ」と強く批判した。その上で勝部氏は、私立高校の第一義的な所轄行政庁が京都府であることを確認し、「問題があると思うなら、まずは行政官庁である京都府、そして学校自身に調査や報告を求めるのが筋だ。文科省が直接学校法人に乗り込んで教育内容まで調査するようなやり方は過去にない」と、手続きの拙速さを糾弾した。
「憲法改正の署名を親に求める塚本幼稚園の活動こそ、よっぽど政治的な活動だと思いますよ」
