12日の参議院本会議において、個人情報保護法改正案などをめぐる質疑が行われ、公明党の司隆史議員が松本尚デジタル大臣を追及した。これまで本人同意が原則であった個人データの第三者提供について、同意を不要とする新たな特例が盛り込まれたことをめぐり議論が交わされ、松本尚大臣の答弁中に議場内にヤジが響き、ざわつく場面もあった。
医療情報分野の研究に携わってきた経歴を持つ司氏は、データやAIの利活用自体には賛同を示しつつも、新設される特例によって病歴や人種といった要配慮個人情報を含むすべての個人情報が、氏名や住所を含んだ生データの形で本人の同意なく民間事業者に提供可能となる点を問題視した。この制度では事業者の認定制度がなく、一定事項の公表だけで外国企業も対象となり得る点などを挙げ、「入口を広げるなら出口規制を強化する、これが世界の潮流だ」と指摘。多数の民間事業者や外国企業をどのように監督するのか松本大臣の所見をただした。
これに対し松本大臣は、事前の認定制度は採用せず、義務違反やその恐れが生じた場合に国が適切に介入する「事後規制の制度枠組み」を採用することが適切と考えていると答弁。このとき、議場内にヤジが響き、ざわついたが松本大臣は答弁を続け、データを不正に提供した場合などに適用される罰則の対象範囲の拡大や法定刑の引き上げ、課徴金の適用により違反行為の実効的な抑止が図られるとの見解を示した。さらに、「本特例におけるデータの提供元及び提供先は一定の事項を公表することが義務付けられている」として、外国企業の監督方法については、「個人情報保護委員会においては外国企業を含め公表事項の把握を通じて適切なモニタリングを実施し厳正に法執行をしていく」と説明した。
また司氏は、医療分野におけるデータ利活用に関し、国が認定した事業者が医療情報から氏名等を削除・加工して提供する現行の「次世代医療基盤法」との不整合を指摘。さらに厚生労働省が医師の守秘義務を定める刑法第134条との関係について「直ちに違法性が阻却されるとは言えない」と説明している点に言及し、既存の法体系とどのように整合性を取るのか答弁を求めた。
松本大臣は、医療等情報を利活用しようとする事業者は一般法である個人情報保護法と特別法である次世代医療基盤法のいずれによることも可能であり、両者は排他的ではないと説明。刑法との整合性については、個人情報保護法と刑法の各刑罰規定とは趣旨や目的が異なるため、「個人情報保護法上は適法な個人情報の取り扱いであったとしても、刑罰規定に違反することは生じ得る」との認識を示し、関係省庁と連携して留意点の周知を検討していくとした。
最後に司氏は、改正案の条文構成において重大な制度変更が分かりにくくなっていると主張した。先日の衆議院予算委員会で高市総理が「懸念については説明を受けていない」と答弁したことを引き合いに出し、「総理でさえ知らない懸念を国民は知るよしもない」と政府の説明責任のあり方を追及。関係団体からも「極めて危険である」と強い懸念が示されていることを紹介。提供可能な個人情報から要配慮個人情報を除外する法案修正が必要ではないかと求めた。
松本大臣は、条文の構成は法制的な観点から適切に立案されたものであると主張。高市総理に対しては「今回の改正法の概要について、個人情報保護委員会より必要十分な説明をしているものと承知している」と述べ、個人の権利利益を保護するための必要な措置は適切に講じられているとして、法案修正の必要性はないとの考えを示した。
(ABEMA NEWS)

