■「足が天を向いていた」複数回飛ばされた住民
静岡県で竜巻の被害が最も大きかったエリアの一つ、牧之原市細江に住む堀田徳章さん(57)。竜巻は複数回襲ってきたと話す。
「ガラスが割れないように押さえていたんですけど、サッシと一緒に部屋の奥の方まで飛ばされて、そうしたら二回目の突風が来て、部屋の中で体が浮いてしまった。浮いてしまって天井に一回当たって、そのままこちらにも窓があるんですけど、この用水路の方に落下をして」(堀田さん、以下同)
堀田さんが飛ばされたのは、二度では済まなかった。
「(用水路から)一回外に出たんですけど、その間にも体に枝とか葉っぱがバシバシ当たる状態で、15秒間くらいですかね。しゃがんで頭を守りながら、押さえながらいたんですけど、三回目の突風の時に体が浮いてしまったのが分かったので。今、新しい倉庫になっていますけど、倉庫の屋根の部分をつかんで。最後に自分が覚えている映像は自分の足が天を向いていた状態」
この地区で複数回飛ばされた人は他にもいる。松浦暖花さん(23)だ。アルバイト先に向かうため、自宅近くの車を取りに行く途中だった。
「この辺りに一回飛ばされてしがみついたんですけど、その後もう一回強風が来て、あそこの倉庫まで飛ばされちゃってあそこの倉庫に引っかかった」(松浦さん)
当時何が起きていたのか。被災からちょうど1カ月がたった10月5日、竜巻を研究している防衛大学校の小林文明教授と現地を調査した。
「このお宅もそうだし、奥の樹木もやっぱりすごい。ここの集落全体で見ても幅が2~30mくらいあって通過していったんだろうなということが分かります」(小林教授)
ドローンの映像を見ると、1カ月が経ってもいくつもの住宅の屋根にブルーシートが掛けられていることが分かる。
今回は住宅街のさらに奥、被災直後には道路が封鎖されていた地域に入ることができた。数百メートルにわたって谷を埋める、おびただしい数の倒木。枝が飛ばされたり、幹の真ん中からねじ切られたりして様々な方向に倒れている。
「木の倒れ方が無造作と言いますか、風の通り道が本当に分からないですね」(スタッフ)
「ある一定方向の風がこう吹き上げてきたっていう話じゃ全くないと、この倒れ方からも想像できる」(小林教授、以下同)
そして、小林教授もこれまで見たことのない状況を目の当たりにする。
「はがれている。一皮むきつつあるっていう状態ですよね。こんな光景というのは本当に私も初めて見る」
皮がきれいに剥けた木。これは、竜巻の強風や上昇気流などが影響して起こる現象だ。
「日本でこんなことを確認したというのは、しかも大規模に起こったっていうのはここが初めてですよね。そういう意味では本当に今回のこの牧之原の竜巻は特別であった」
丘の上まで続く被害の痕跡。竜巻が山を駆け登っていったことがうかがえる。
「かなり高いところまで、あるいは山の中まで、竜巻が衰えずに来たということ自体が今回非常に驚きですね」
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