■「国の役割は何か」文化の自発性と行政支援の境界線
一方で、クールジャパン機構の実績がゼロだったわけでもない。小林氏は「アニメ制作会社のMAPPAに対してクールジャパンが出資しており、それをもって飛躍し、『チェーンソーマン』などグローバルに売れるコンテンツが生まれた例もある。業界によって構造は違う。専門家集団がちゃんと各業界を理解してどうお金を出せばクリエイターが自由にものを作れるかを考えていく必要がある」と語る。
翻訳人材の育成という観点から、杉江氏は「一番お金を出してほしいのは翻訳だ。日英・日仏の翻訳事業者が国内に少ないため、翻訳の仕事は海外在住の専門家が取ることになり、本来国内でできるはずの仕事と雇用が流出している。翻訳の専門家を国内でもっと育成することにお金を投じる必要がある」と提言する。中山氏も「漫画は50万作品ほどあるが英訳されているのはまだ1万作程度、約2%しかない。内製機能で自ら翻訳していく仕組みが必要だ」と同意した。
ただ、支援の方向性そのものに対して、モデルの益若つばさは、「専門家を集めた結果、大阪万博のようにハイスペックな最新技術や美しい建築物のみが前面に出てくる。でも私のイメージするクールジャパンはもっとごちゃごちゃしたカルチャー、渋谷や新宿・原宿の生々しい下町の感じにある良さだ。京都の美しいものとお抹茶、ゲームとアニメぐらいで差が開きすぎていて、意外と本当のカルチャーが伝わっていない感じを肌で感じた」との考えを示した。
■クールジャパンのイベントは「安っぽい白いテントみたいな感じ」
