互いの持ち時間を削り合って始まった一戦は、後手となった糸谷九段が得意の一手損角換わりの出だしから右玉に構える展開となる。これに対し、藤井竜王・名人はしっかりと自玉を囲って対抗した。糸谷九段が築き上げた隙がなさそうな右玉陣であったが、藤井竜王・名人は8二銀から絶妙な攻めの糸口を掴む。細い攻めを見事に繋いでじりじりとリードを広げていくものの、盤上は互いの玉が向かい合う超スリリングな展開へと突入していった。
激闘がクライマックスを迎える中、持ち時間が刻一刻と減っていくフィッシャールールの魔物が絶対王者に牙を剥く。時間に追われる極限のプレッシャーの中、百戦錬磨の藤井竜王・名人であっても相手の駒を取る際に手元が滑り、盤上の駒が吹っ飛ぶというまさかの大慌てハプニングが発生したのだ。
「あー!ちょっと慌てました!“角不成”となってしまった!」
