しかし、チームメイトが驚く中「後手番に全く自信がないんです」と語る藤本七段は、「全力で先手を取りに行こう、ということです」と、本大会最大値となる2分1秒を投じた。これには藤井竜王・名人も「ええ〜!?大記録ですね、大記録」とびっくり。「わかりました」と静かにうなずき、絶対王者の闘志に火がついた瞬間となった。
大幅に持ち時間を削ってでも先手番をもぎ取った若きエースに対し、後手番に回った絶対王者が真っ向から立ち向かう。対局は序盤から一気にヒートアップし、一瞬の隙も許されない息を呑むような大激戦へと突入していった。極限の緊張感の中で互いに一歩も譲らない一手争いが繰り広げられる中、ハイライトとなったのは終盤戦に藤井竜王・名人が放った△5六銀打だ。盤上を制圧するかのような強烈な勝負手に対し、ここから藤本七段が天才的な指し回しを披露する。
「きたッ!キタッ!」
