「何かあるぞ」深夜の救急指令と現場への到着
その日、何があったのか。25年が経った2026年8月にインタビューに応じた当時の消防隊員の記憶は今も鮮明だった。
2001年9月1日午前1時前、新宿1部特別救助隊2番員(当時)の川越貴史氏は、新宿消防署の事務室で無線を聴きながら書類仕事をしていた。その時、救急指令が流れた。
「ちょうど2分ぐらい前に『ビルから飛び降り』という救急指令が流れて、その時には『ちょっと嫌な予感がするな』というような認識で無線を聞いていました」(川越氏)
午前1時1分、新宿1部特別救助隊機関員(当時)の平井太氏も無線に身を構えた。今度は同じ住所から「出火」との報告だった。
「やはり同じような場所なので『これは何かあるぞ』という感覚は全員が持っておりました」(平井氏)
新宿消防署特別救助隊6人が飛び出した。途中、指令センターから「逃げ遅れ、多数……」との追い打ちの情報が入る。それでも川越氏は無線を半信半疑で聞いていた。
午前1時5分ごろ、現場に到着。ハンドルを握っていたのは機関員の平井氏。指揮本部の命令で、あえてビルの直近を避け、100メートルほど手前のコマ劇場の前に車を停めた。金曜日の深夜で人通りも多かった。
「『本当にこの先で火災が発生しているのかな』というような感覚でした」(川越氏)
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