なぜ44人は逃げ遅れたのか?明らかになった避難経路の不備
なぜ44人は逃げ遅れたのか。当時、消防庁の総合研究所に勤務し、この火災の再現実験も行った日本防火技術者協会の関澤愛理事長に話を聞いた。
関澤氏は「2つ目の避難経路がありさえすれば、ほとんどの人が助かっていた」と指摘。まず3階は通りに面した事務所に1つ、店舗奥の厨房に2つ、換気窓がある。この窓から飛び降りたスタッフ3人は、負傷はしたものの命は助かった。
さらに「客たちは、窓の位置すら知らなかったのではないか」と言及。扉を開けた瞬間に黒い煙が入ってきたため、消火器で消せる暇もなかった。
「中にいた人は、もう奥の方にしか逃げる選択肢はないし、頭にも浮かばない。煙に向かっていくってことは、あり得ないじゃないですか。奥には何か窓とか逃げる道があるかなという期待を込めて奥に入ったけども、そこに何もなかったという絶望に襲われながら亡くなっていた」(関澤氏)
現場に入った川越氏も、2階から3階に行く階段には階段を隠すようなパネルがぶら下がっており、あえて階段と分からないような状態だったと証言し、「階段の存在自体を知らなかったのでは」と見る。さらに、火災報知設備もベルが鳴らないよう切られており、防火扉も一切動かなかったという。
4階はさらに条件が悪かった。カラオケの防音のため、換気窓は壁でふさがれていた。階段側の更衣室に非常用の出入口はあったが、階下からの炎で近づけない。この火災で、ビルの中からの通報は全部で5件。1本目から5本目の通報まで約12分あったことが確認されている。
関澤氏は「避難経路が確保されていれば、12分間あれば相当の数の人が助かる。まず希望が持てるじゃないですか。我慢してれば逃げられる」と、避難経路が2か所あれば44人は死なずに済んだ火災だったと指摘した。
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