「ヘリが無けりゃ死人ばかりになる」医療用ヘリ3人死亡事故から浮き彫りになる「地域医療格差」…命を救い続ける現場に密着

テレメンタリー
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■ヘリ死亡事故がもたらした衝撃と離島医療の現実

医療用ヘリ転覆事故
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 2025年4月、福岡和白病院の医療用ヘリコプター「ホワイトバード」が、長崎県の離島・対馬で患者を乗せ、病院に向けて飛び立った。しかし、直後に消息を絶ち、その後、壱岐島沖で見つかった。この事故で、患者の本石ミツ子さんと付き添いの息子・和吉さん、そして医療を届けるために搭乗した福岡和白病院の医師・荒川渓さんの3人が命を落とした。

 調査では、回転翼を制御する装置が折れていたことが判明。しかし、発生から1年以上が経った現在も、事故原因の特定には至っておらず、調査が続けられている。

 事故で亡くなった本石ミツ子さんが最初に運ばれた対馬病院の八坂貴宏院長は「たしか午前中に救急車で運ばれて、病院で検査をしたら脳の出血があったので、島では対応できず、脳外科の手術が必要だということで」と説明する。

 さらに、離島医療ならではの厳しさを口にする。「脳外科の手術・心臓血管外科の手術は対象症例数が非常に少ない」「週に1例も手術はないので、月に数例となると、医師や医療スタッフ、設備投資を考えると確保できない状況」。

 対馬の人口はおよそ2万7000人で、そのうち高齢者が4割を占める。脳や心臓血管系の手術は行うことができず、週1回ほどのペースで患者のヘリ搬送が行われている。

 島民の森久義さんは2009年、屋根から転落した際に腎臓が破裂し、ヘリで救急搬送された。

「対馬の病院に着いてすぐ長崎医療センターに搬送」(森さん)

「『対馬では対応できない』と言われた」(妻・よし枝さん)

「自分はダメやなかろうかって」(森さん)

 海を越え、長崎医療センターに搬送。一時は生死をさまよったが、手術の結果、一命を取り留めた。

「向こうに行って手術をしたから良かった。それがなかったら今、元気にしていることもない。何事にしても事故はある。向こうの医療機関に連れて行ってもらいたいというのが、けがをした時の感想ですよね」(森さん)

 自身や家族、知り合いが搬送されたという島民も少なくない。壱岐島沖の事故で亡くなった本石さん親子の遺族を訪ねた。

 「テレビで(死者の)名前を言っても信用性がなかった。信用したくなかった」そう話すのは、事故で姉と甥を同時に失った永尾一心さん。それでも、ヘリの必要性を強く訴える。

「ジェットフォイルで2時間、普通のフェリーで4〜5時間かかる。ヘリが無けりゃ対馬は死人ばかりになる。間に合わんもん。整備士もわざと整備を手抜きするわけじゃない。人の命を預かっとる人なんやけん。万に一つ事故がないと言っても、億に一つはある」(永尾さん)

 もう1人の犠牲者である荒川医師と5年以上にわたり一緒に働いていた男性。事故の数日前、「飲みに行こう」と連絡を取り合ったばかりだった。

「衝撃すぎて、その日どんな会話をしたとか、何をしたとか覚えていない。多くの人と関わることが好きだった。常に人が集まっている先生で、本当に慕われていた」(亡くなった荒川医師の同僚)

 「なぜ荒川先生が…」その想いが今も胸に残り続けているという。「『日本一の脳神経外科医になる』と言っていた。そのくらい熱心な先生でした」「救えない命を救えるのはヘリ搬送」と話し、親族や同僚を失ってもなお「離島医療にヘリは必要」と訴える。

民間病院の覚悟と「医療を運ぶ」取り組み
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