「ヘリが無けりゃ死人ばかりになる」医療用ヘリ3人死亡事故から浮き彫りになる「地域医療格差」…命を救い続ける現場に密着

テレメンタリー
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■「命に軽重はない」へき地医療に求められる国の補助

木塚雅貴教授
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 そしてまた出動要請が入る。「意識状態が悪いとのことでヘリ要請となります」「意識レベルは3桁。血圧が211の106」──。垂水市のグループホームに入所する89歳の女性が意識障害を起こした。

「意識が悪くて、脳卒中を起こした可能性があって。脳出血か脳梗塞かだと思うんですよ。今すぐ米盛病院に運んで検査していきます」(患者の家族に伝える倉田医師)

 搬送された女性患者の娘・濱崎るみ子さんは「『脳梗塞か出血しているかもしれないから』と医師に言われて。母はもう89歳なので、まひとか残ったら歩けないのではと思って。いろいろなことを考えながらフェリーで来た」と振り返る。

 濱崎さんの母親は、半年ほど前にも脳梗塞の疑いで病院に搬送されたばかりだった。

「やっぱり遠いですよね、大隅半島は。フェリーも50分おき。1便逃すと、ほぼ1時間遅れてしまう。近くの総合病院も手術ができない。早く薩摩半島に来れる手段があるのはいいと思います」(濱崎さん)

 治療の結果、母親は一命を取り留めた。

 京都府立医科大学大学院の木塚教授は「命に軽重は絶対あり得ない。できるところは国がきちんと関与して、補助する姿勢はやっていく必要性がある」と訴える。

 離島・へき地医療にとって「最後の砦」と言われるヘリ搬送。10月には整備士不足を理由に、長崎・徳島などでドクターヘリ10機が運休する事態になった。国の体制も綱渡りの状態だ。

 死亡事故から見えた「地域医療格差」。格差の溝を埋める一翼を担っているのは、民間病院の覚悟そのものだ。

「病院の救急に対する決意・総意のシンボルであり、我々は自分たちのお金を使ってヘリを飛ばしているんだと。だから損は当たり前。儲けようと考えずに、ただ人の命が救えればいい」(冨岡医師)

 この先も民間病院に頼り続けることができるのか。フライトドクターは今日も、患者のもとへ医療を届ける。

※濱崎るみ子さんの「崎」は正式にはたつさき
(九州朝日放送制作 テレメンタリー『医療を運ぶ翼 ヘリ死亡事故から見えた地域医療格差』より)

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