アニメ「薬屋のひとりごと(くすりやのひとりごと)」は、花街育ちの薬師の少女が織りなす後宮謎解きエンタテイメントです。2023~2024年放送の1期、2025年放送の2期に続き、3期が2026年10月2日から日本テレビ系「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」枠にて全国同時放送中。2026年12月11日からは「劇場版 薬屋のひとりごと 亡妃の秘宝」も公開予定です。
この記事では、アニメ「薬屋のひとりごと」3期からの物語でフォーカスされる蝗害や昆虫食について解説します。作中に出てくる蝗害情報のほか、実際の蝗害、昆虫食の歴史についてもまとめました。
目次
- アニメ「薬屋のひとりごと」とは
- 蝗害とは?
- 蝗害の歴史
- 昆虫食とは?その歴史も紹介
- アニメ「薬屋のひとりごと」作中に登場する蝗害について
- アニメ「薬屋のひとりごと」2期の蝗害エピソード
- アニメ「薬屋のひとりごと」3期の蝗害エピソード
- アニメ「薬屋のひとりごと」蝗害まとめ
アニメ「薬屋のひとりごと」とは
舞台は古代中国風の架空の国・茘(リー)。花街で薬屋として働いていた少女・猫猫(マオマオ)は突然、人さらいに遭い、後宮へ売られて下女として働いていました。そんななか、帝の御子が次々と病にかかる事件が発生します。毒に目がない猫猫は、好奇心を抑えられずに原因を究明。それが美形の宦官・壬氏(ジンシ)の目に留まり、妃の毒見役に抜擢されます。その後も壬氏からさまざまな依頼を受けながら、持ち前の知識と鋭い洞察力で次々と解決に導いていきます。
蝗害とは?
蝗害(こうがい)とは、相変異により大量発生した一部のバッタ類(トノサマバッタなど)の群生行動が引き起こす災害を指します。「薬屋のひとりごと」の物語中だけでなく、現実世界にも存在する災害です。別名「蝗災(こうさい)」ともいいます。相変異を起こし、蝗害の要因となるバッタを「飛蝗(ひこう)」と呼び、相変異を起こしたバッタの群生行動を「飛蝗現象」といいます。
蝗害の被害例は、稲や畑作物の食べ尽くしによる食糧不足です。飛蝗の大群は食物だけでなく、周辺の草や紙、綿などの植物由来の製品まで食べ尽くした事例も過去にありました。米や麦といった穀物や畑作物の生産に大きな影響が出るため、被害地域の住民に飢餓が起こることも問題視されています。近年では、群生行動により空港近隣に大量のバッタが飛来し、航空機の飛行を妨げかねない事象が起きたこともありました。
なお、飛蝗は周辺のものを食べ尽くしたあと一気に産卵します。このため、被害がその年だけに収まらず、数年連続して蝗害が発生するという特徴もあります。
蝗害を引き起こす相変異とは?
相変異とは、バッタの大群の研究から発見された、「生活の条件の変化に応じて、生物が姿や習性を変える現象」です。バッタにおいては、個々で行動する「単独相」から、群生行動が習慣づいた「群生相」へ変化することを指します。
バッタの相変異は、幼生期に過密状態で育ったり、何かに物理的に接触する機会が多かったりすると引き起こされやすいとのこと。そうした環境で育ったバッタは、集団行動をする性質が強い群生相となり、さらなる過密状態を作り出します。
群生相へ相変異したバッタは、以下の特徴が見られるようになります。
・単独相のバッタと比べて全体的に黒っぽく、翅が長く後ろ脚が短い
・互いに近づこうとするため群生行動が起こりやすい
・単独相のときには食べなかったものまで食べるようになる
・産卵回数や産卵数が減少する
蝗害の歴史
蝗害は、紀元前から世界中で発生している、古くからの現象です。ここからは地域別で蝗害の歴史を解説します。
ヨーロッパ・地中海
地中海沿岸の地域では、紀元前2300年頃のエジプト第6王朝の遺跡に、飛蝗が草を食べる絵が描かれています。
紀元前13世紀に入ると、蝗害の記録が出現。旧約聖書「出エジプト記」には、バッタがエジプトを襲う様子が記述されています。紀元前700年頃に建設されたアッシリアの壁画にも、串刺しにした大量のバッタを運ぶレリーフが残っていることから、この時代でも蝗害が問題になっていたと考えられています。
メソポタミアでは、風とともに熱病をもたらすという悪霊の王(魔神)パズズや、新約聖書「ヨハネの黙示録」に登場してバッタの群れをともなう奈落の王アバドンなどがいました。これらの神々は「飛蝗を神格化したもの」とも言われ、古くから存在が認識されていたようです。
中国大陸
中国における蝗害の歴史は古く、記録も数多く残っています。これは中国の王朝において、「蝗害を含む天災は皇帝の不徳によるもの」という考えが根底にあり、対策を含めた天災の記録が細やかに残されているからです。
蝗害に関する最古の記述は、紀元前16世紀~紀元前11世紀頃に興った中国最古の王朝・殷の時代。甲骨文に、蝗害の記録が残されています。次の王朝の周でも、蝗害の駆除の様子が中国最古の詩集「詩経」に記されています。漢の時代になると、さらに蝗害の記録が増え、その後の時代にも、たびたび蝗害が発生した記録が残っているそうです。
同じ大陸続きの朝鮮半島でも、三国時代の歴史書「三国史記」に蝗害の記録が見られます。
日本
日本では古文献に蝗害の記述こそありますが、群生行動をしていたのは飛蝗ではなく蝗(イナゴ)やウンカ・メイチュウといったバッタ科ではない昆虫だったようです。そのため、被害地域が限定されていたうえに、鳥やクモ、カエルなど天敵が多くいたこともあり、被害は抑えられていました。
しかし、近代ではたびたび飛蝗による被害も報告されています。明治時代、1880年ごろに北海道で発生し、1884年ごろに終息。その後も1970年以降に沖縄や鹿児島、栃木で蝗害が発生しています。2000年代に入ると、天敵の少ない人工島の関西国際空港で一時、飛蝗が発生しました。こちらは駆除対応と、飛蝗の天敵となるカビの発生により終息しました。
その他の地域
南アジア~中東地域では、1800~1900年代にキプロスやパレスチナ、アフガニスタンなどで大規模な蝗害が発生し、深刻な飢餓を引き起こしています。1870年代には、北アメリカにて数度、大規模な蝗害が発生しましたが、1902年頃にはそれを引き起こしていたロッキートビバッタが絶滅しました。
2000年代に入ってからも、アラビア半島やインド、イスラエル、アフリカ大陸と、幅広い地域で蝗害が発生しています。
昆虫食とは?その歴史も紹介
昆虫食とは、昆虫やクモ類を食用とする文化のことです。一般的によく食べられるのは、蜂の幼虫や蝗など。現代日本ではあまり馴染みがありませんが、現在も世界中で約20億人が食している一般的な食文化の1つです。
昆虫食の歴史
昆虫食の歴史は、先史時代から続いています。蝗害発生時には、農作物の代わりに大量発生した飛蝗を食料にして、飢餓を軽減させました。一方、昆虫食は貧しい農民の代替食ではなく、中国の儒教の経典「周礼」には昆虫食で賓客をもてなしたという記述もあります。
日本では、江戸時代から昆虫食に関する文献が多く見られるようになりました。現代でも、「蝗の佃煮」などの伝統食が残っています。近代に入ると、昆虫食の栄養価やコストパフォーマンスなどが注目され、2010年代以降、コオロギをはじめとする食用昆虫の養殖事業の参入が増加しています。
昆虫食の栄養価
昆虫には、動物性タンパク質が豊富に含まれています。そのため、牛や豚といった食用肉の代替タンパク源となり、昔から日本や世界各地でも食糧不足時にこれでタンパク質を補っていました。タンパク質だけでなく、必須アミノ酸やミネラル、ビタミン類も含まれ、これらは肉類の栄養価に匹敵するといわれています。
アニメ「薬屋のひとりごと」作中に登場する蝗害について
アニメ「薬屋のひとりごと」の世界では、蝗害は国を滅ぼす天災の1つとされています。猫猫の国でも、蝗害が発生すると飛蝗に作物や荒縄、草履に至るまで、あらゆるものを食らい尽くされる被害が出ています。そして、それが引き起こす食糧不足により、農村から花街に売られる娘も多くなるようです。そのため、猫猫自身も蝗害は「判断を誤ると餓死者が出るもの」と認識しています。
蝗害による甚大な被害は、皇帝の不徳によるものと考える民も存在します。大きな力を持っていた子一族の討伐直後に蝗害が起きれば「子一族の祟り」と噂される懸念もあり、政権への悪評価につながることも猫猫は危惧していました。
原作者が語る作中の蝗害の設定について
原作者の日向夏氏は、この作品における蝗害の設定について、以下のように説明しています。
「蝗害とあるが実際には飛蝗害。今、作中で見つかっているのは孤独相と群生相の間。つまり次の世代がやばい。飛蝗は蝗に比べて頭が固いようなので、蝗と同じ調理法にするとまずい、さらに群生相だと翅が大きくなりバサバサしてさらに不味いという認識で書いてる」
現実の蝗害を引き起こす、飛蝗の相変異と同じ変化が、作中で順を追って描かれていることがわかります。
アニメ「薬屋のひとりごと」2期の蝗害エピソード
猫猫が子一族の砦にさらわれる前には、翠苓(スイレイ)の薬学の師である老人が神美(シェンメイ)の不老不死の薬を作る役割を担っていました。実はその役目のかたわらで、老人は蝗害を抑止する研究をしています。老人は飛蝗の研究情報を図鑑に書き記し、砦の本棚に保管していました。
実際に蝗害を想起させる発言が出たのは、子一族の砦で禁軍を率いる壬氏(ジンシ)が楼蘭妃(ロウランヒ)と対峙したときです。第47話にて、楼蘭妃は壬氏に「いずれこの国に起こりうること」と言って1枚の紙を渡します。ここではその内容までは描かれていませんが、紙には蝗害が起きる危険性について記されていました。
アニメ「薬屋のひとりごと」3期の蝗害エピソード
子一族反乱制圧後、穀物の不作により、一般的な蝗より中身のない蝗が花街で食用として出回ります。蝗害が気になった猫猫は、砦で見た虫の本を思い出して本屋を捜索したところ、砦にあった図鑑を発見。図鑑の売り主は、砦で猫猫を監視していた元衛兵でした…。
アニメ「薬屋のひとりごと」蝗害まとめ
蝗害は、大量発生により相変異を起こした、飛蝗の群生行動が引き起こす自然災害です。アニメ「薬屋のひとりごと」の世界でも、蝗害の概要は同じものとなっています。
猫猫の国・茘では、今年は大きな蝗害が起こる可能性が浮上中。現在は蝗害の情報を集め、対策を進めている途中です。
国を滅ぼす天災とされる蝗害は、今後物語に大きな影響を及ぼす可能性があるキーワードの1つといえるでしょう。これからどのような展開が待ち受けているのか、今後の放送を待ちましょう。
(C)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
この記事の画像一覧アニメ『薬屋のひとりごと』放送回一覧(動画リンクつき)
| 話数 | サブタイトル(タップで動画へ) | 見どころ |
|---|---|---|
| 1 | 猫猫 | 猫猫の正義感が幼子を救う |
| 2 | 無愛想な薬師 | 媚薬の出来はバッチリ!? |
| 3 | 幽霊騒動 | 奇行の裏の真実に気づく猫猫 |
| 4 | 恫喝 | ガチギレ猫猫のマジビンタ! |
| 5 | 暗躍 | そばかすを落とした猫猫の顔 |
| 6 | 園遊会 | 「これ、毒です」猫猫が本領発揮 |
| 7 | 里帰り | 高順の前で素が出てしまう壬氏 |
| 8 | 麦稈 | 「一夜の対価」に壬氏、硬直 |
| 9 | 自殺か他殺か | 猫猫の死生観、壬氏の懊悩 |
| 10 | 蜂蜜 | 変態に追い詰められる猫猫 |
| 11 | 二つを一つに | 阿多妃の過去が明らかに |
| 12 | 宦官と妓女 | 猫猫、指先だけならお触りOK |
| 13 | 外廷勤務 | 官女とのドロドロバトル |
| 14 | 新しい淑妃 | 「女の園の秘術」を教授 |
| 15 | 膾 | 曲者な軍師・羅漢が来た! |
| 16 | 鉛 | 鍵の開かないタンスの謎 |
| 17 | 街歩き | 妓女の価値を下げる方法 |
| 18 | 羅漢 | 猫猫と羅漢の関係が明らかに |
| 19 | 偶然か必然か | 命を守るため、猫猫が走る |
| 20 | 曼荼羅華 | 壬氏が飲む薬の効果 |
| 21 | 身請け作戦 | 隙あらば嫉妬する壬氏 |
| 22 | 青い薔薇 | 羅漢の目に映る人々 |
| 23 | 鳳仙花と片喰 | 妓女・鳳仙と羅漢の悲恋 |
| 24 | 壬氏と猫猫 | 壬氏の頭突きを食らう猫猫 |
| 25 | 猫猫と毛毛 | 壬氏、恍惚の表情でネコ吸い |
| 26 | 隊商 | 小蘭、猫猫にムニムニほおずり |
| 27 | 冬人夏草 | 亡くなった中級妃と毒きのこの謎 |
| 28 | 鏡 | 絶世の美女の正体はまさかのやり手婆 |
| 29 | 月精 | 闇に浮かび上がった“美女”壬氏 |
| 30 | みたび、水晶宮 | 梨花妃のビンタに深い理由 |
| 31 | 選択の廟 | 皇帝の爆弾発言に焦る壬氏 |
| 32 | 皇太后 | 皇太后の“呪い”発言が怖すぎる |
| 33 | 先帝 | 高順にあやされるギャン泣き幼少壬氏 |
| 34 | 怪談 | 本気のガチホラー回 |
| 35 | 狩り | 猫猫と壬氏、襲撃からのずぶ濡れ急接近 |
| 36 | 華瑞月 | 壬氏に壬氏の壬氏があった |
| 37 | 湯殿 | 猫猫たちの楽しいお風呂回 |
| 38 | 踊る幽霊 | 壬氏が「猫猫」と呼ぶ |
| 39 | 氷菓 | 壬氏、猫猫に顎クイ |
| 40 | 巣食う悪意 | 生きていた翠苓 |
| 41 | 狐の里 | 猫猫の名推理に子翠は爆笑 |
| 42 | 鬼灯 | 激おこ壬氏 |
| 43 | 祭り | 猫猫の超オタク早口 |
| 44 | 砦 | 楼蘭妃の正体が判明 |
| 45 | 蟇盆 | たくましすぎる猫猫 |
| 46 | 禁軍 | 猫猫と壬氏、久々の再会 |
| 47 | 子の一族 | 若い頃の子昌&神美がエモい |
| 48 | はじまり | 猫猫と壬氏、それぞれの立場に |
| 49 | 蝗(いなご) | ガラが悪い花街での猫猫 |










