「息を潜めて行動しろ。深海魚のように」田中被告の携帯にメモも…検察が描いた“3つの柱”はなぜ崩れたのか 王将社長射殺事件・無罪判決の裁判詳報

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被告人質問は拒絶→無罪判決へ

 被告人質問も検討されていた。しかし、被告は質問に答えない意思を示した。裁判長の「一切の供述を拒むということでいいですか」との問いに、被告は「はい」とうなずき、被告人質問は見送られた。田中被告があの朝どこにいたのか、最後まで示されることはなかった。

 3つの柱は、どれも被告が実行犯だと言い切るには届かなかった。判決はこう結論づけた。

「本件の各証拠により認められる間接事実を総合しても、被告人が本件各犯行の実行犯であるとした場合に矛盾しない事実関係が認められるにすぎず、被告人が実行犯でないとしたならば合理的に説明できない事実関係が存在するとはいえず、刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをする」。

 「矛盾しない」だけでは足りない。犯人でなければ説明がつかない事実がなかった。そして裁判長は「上位者等から犯行の具体的内容を知らされないまま、被告人が現場の下見等を命じられ、犯行とは別個の機会に、東側通路を訪れて喫煙して吸い殻を遺留した後、被告人とは別の第三者が犯行を実行した可能性も直ちに排除できない」と説明する。

 被告は証言台の椅子の背にもたれ、裁判長の方を向いてじっと聞いていた。無罪を言い渡された田中被告は「裁判官の判決の言葉に溜飲が下がるとともに、この4年のあかが洗い流された気持ちになりました。それでも犯人と思われた時点で人生が変わるし、失ったものも戻ってきません」と語った。

 ただ判決は、無罪の理由を述べる中で、ある可能性に触れていた。被告の“上”に誰かがいたのではないか、と。真相は今も分かっていない。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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