今や日本中で話題となっている「連勝」といえば、野球でもなければ大相撲でもない。将棋だ。中学生棋士・藤井聡太四段(14)は、昨年12月にデビュー戦に勝利して以来、無敗のまま歴代単独2位となる25連勝を達成。テレビ各局、新聞各紙が、対局前日には「明日は藤井四段の対局が…」、翌日には「○連勝を達成しました」と報じ続けている。この連勝記録、数字自体もとてつもないが“無敗”であることで、さらに注目を集めている。そこで、各競技の「無敗による連勝記録」を探してみた。
連勝記録だけならすぐに見つかる。まず肝心の将棋界の歴代最多連勝記録は、神谷広志八段(56)が持つ「28」。藤井四段は、この記録に無敗のままあと3勝に迫っている。囲碁では坂田栄男二十三世本因坊が29連勝という記録を持っている。その他、スポーツ界を見渡せば、大相撲の双葉山(69連勝)、プロ野球なら現在はメジャーリーグで活躍する田中将大が日本でプレーしていた2012年から、メジャー移籍後の2014年5月まで34連勝を記録している。その他、レスリングの吉田沙保里の個人戦206連勝、柔道・山下泰裕の203連勝と、数々の偉業が出てくる。しかしどれもが全盛期で記録した、キャリア途中からのものだ。
デビュー以来無敗による連勝記録となると、これを見つけるのは非常に難しい。当然、どのプロの世界でも、新人が連勝を続けることは難しく、各競技の公式サイトなどを確認しても、「デビュー以来の連勝記録」は、項目そのものが見あたらない。となると、探すべきは「生涯無敗」の選手の記録。生涯無敗=デビュー以来無敗の連勝、というわけだ。
そうして出てきたのは、ボクシングの記録の数々だった。メキシコのボクサー、リカルド・ロペスはプロ52戦して51勝1分け無敗。49勝無敗にはロッキー・マルシノア、フロイド・メイウェザー・ジュニアが並ぶ。現役ではタイのワンヒン・ミナヨーティンが47連勝を記録したばかりだ。1対1であること、デビュー直後から実力があってもランキング下位からスタートすることなど、探せば対戦において将棋との共通点も多かった。
もはや将棋界の中だけでは比較するものがなくなりつつある藤井四段の快記録。前人未踏の29連勝を達成、さらに記録を伸ばすことがあれば、今呼ばれている「天才」「神の子」というように、藤井四段を形容する言葉も見つからなくなりそうだ。
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