横浜スタジアムが沸きに沸いた。レギュラーシーズン残り2試合の141試合目で広島に13対7と勝利し、2年連続のCS進出の切符を手にした。CSを決めた10月1日は、2万8996人の観客で満員御礼。ハマスタ周辺にはチケットを買えなかったファンも殺到し、大画面でモニター観戦ができるBAYビアガーデンには試合開始3時間前からファンが集まり、300席はすぐに満席となった。100人以上の立ち見のファンが取り囲み、外野ゲートにあるテレビで観戦するファンの姿も多く見られた。シーズン最後の日曜日だったこともあり、地元のファンだけでなく北海道、新潟、大阪など遠方からもファンが押し寄せた。
試合内容は波乱の展開だったが、今年のラミレス采配を象徴する試合でもあった。初回にロペスの2ラン、筒香嘉智のバックスクリーンに打ち込む一発、ウィーランドのタイムリーで幸先よく4点を先制。「4番・筒香でCSに」という指揮官は9月29日の阪神戦から3カ月ぶりに筒香を4番に戻し、その思いにキャプテンが応えた。
攻撃の主役はもう1人、恐るべしは“打者”ウィーランドだ。今シーズン、投手を8番に据える形となったのは、攻撃的な1番打者の役割を2人続ける意味合いがあるが、ウィーランドのバッティングを評価したラミレス監督が9番ではもったいないと試行錯誤したことがきっかけだった。4対5と逆転を許した3回には自らのバットで豪快な逆転3ランを放ち、驚かせた。これで広島戦は、なんと13打数7安打、3本塁打。これには、データを重視する指揮官が「広島（ファイナルステージ）では代打ウィーランドも考える」とサプライズ発言をするほど。本職の方では7失点だったが、7対7の同点となった5回に筒香がこの日2本目の特大アーチを真っ青なライトスタンド上段に叩き込み、勝ち越し。チーム史上初の外国人投手の10勝を手にした。最後は山崎康が締めCS進出を決め、満員のハマスタはファン同士のハイタッチで盛り上がり、歓喜に包まれた。
昨年は借金2でも3位に食い込み、CSに乗り込んだが広島とのファイナルステージで悔しい敗退をした。「去年のCSの借りを返す」と梶谷をはじめ主力メンバーが常に口にしてきた。今年はシーズンの勝ち越しも決まり、広島に13勝12敗とセ・リーグで唯一勝ち越し、モチベーションが違う。試合後にグラウンドで挨拶をしたラミレス監督は「甲子園で阪神に勝ち、マツダで必ず広島に勝つ。“OUR TIME IS N.O.W. ”ファンの皆さん、日本シリーズに行きましょう！」と公言。筒香も「まずはファーストステージで阪神に全力で立ち向かい、ファイナルステージも勝ち抜き、必ず日本シリーズの舞台で横浜スタジアムに戻ってきます！」と宣言した。
「去年より選手に自信があるのが伝わってくる。ハマスタで日本シリーズをやるイメージが湧いてきた」と、去年広島でCS敗退を見届けた男性ファン。試合後にはグッズショップでCS限定Tシャツが発売され、長蛇の列ができた。「広島に着ていきます！」と女性ファンの笑顔がはじける。ファンも阪神を撃破し、広島で去年の借りを返すことしか考えていないようだ。さあ、リベンジの時がきた。【山口愛愛】
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