運と知識を兼ね備えた者だけが勝ち上がれる麻雀の世界。そこで生きるプロたちは、全身全霊をかけて戦っている。クールな表情から「氷の微笑」の愛称を持つ女流プロ、水口美香もその1人だ。一見、落ち着いた雰囲気を漂わせるが「大きな対局の前には吐き気をもよおすこともあるし、負けた後に熱が出たこともある」という。まさに命がけで戦っている女流麻雀プロの思いを聞いた。
 今や麻雀対局がネットテレビ局などで誰でも見られる状況の中、大きな対局ともなればまさに衆人環視の中で行われる。勝負どころでの選択ミスや、攻守の姿勢について、視聴者からは容赦ないコメントが飛ぶ。コメントを気にするあまり自身のフォームを崩し、プロをやめる者も少なくない。水口は、その「コメントの嵐」についての耐性は身につけたが、やはり思いを込めた対局では、勝負どころで手が震える。「この前も、ツモれば優勝というところで、待ち牌が来たのが指の感触で分かった時は、もう大変でした」と、当時の緊張と興奮を振り返った。