両者が土俵に上がると、とても前相撲とは思えないほどの拍手と歓声が沸き起こると同時に、2人はカメラの無数のフラッシュを浴びた。まだ午前9時前だというのに、館内にはざっと見渡して100人以上の熱心なファンが取組表にも載っていない“大一番”見たさに駆けつけていた。
西方から上がった納谷(なや=大嶽)は強豪校の埼玉栄高在学中で、先の10月に行われた国体少年の部で個人、団体の2冠を制した大器。“若貴ブーム”の時代に大活躍した元関脇貴闘力を父に持ち、祖父は優勝32回を誇る昭和の大横綱大鵬だ。188センチ、166キロという恵まれた体格はすでに“関取級”で、素質は申し分ない。