大相撲の横綱・白鵬(宮城野)が、初場所で痛めた両足の親指の強化に、ビー玉を足でつかむ珍トレーニングを導入した。3月11日から始まる大阪場所に向けて「けがをしてから始めました」という新たなトレーニングで、土俵に根を生やすようにしっかりと足の裏でつかむのが狙いだ。
大阪場所を前に稽古を重ねる横綱の足元に、見慣れないものが転がっていた。今では遊ぶ子どもも少なくなったビー玉だ。それを大きな足の指で器用に挟み、転がす。日本相撲協会のホームページに192センチ、156キロと記されている大きな体にしては、実に地味なトレーニングだが、これがなかなか難しい。「(初場所で)指を痛めたんで。新しいトレーニング方法ですね」。初場所は初日の稽古で右足、四日目に左足の親指を相次いで痛めたところで途中休場を決めた。それだけ足の指が、力士にとっての生命線であることがよくわかる。
大事に至る前に休場を選択したことで、状態は着実に上向いている。「(年の)はじめからけがをしましたから、(これから)けがをしないようにしたいです。そうすれば結果はついてくると思います」と、表情にも明るさが見えた。大阪場所では、北の湖を抜いて単独1位となる横綱在位64場所目を迎える。「2007年に横綱になってから3年、5年頑張れればいいなと思っていたんですが」と話すが、数々の記録を打ち立てて今年で11年目。そろそろ達成できる記録を探すのも難しくなってきた。
そんな中で白鵬が目指しているのが、前人未踏の幕内1000勝だ。「誰も達成できていないですから。幕内1000勝は心掛けて、調子を上げてやってきたいと思います」と口にした。現在の幕内通算成績は83場所で972勝175敗83休。15日間、取り続けられれば残り24勝は2場所でクリアできる数字だ。直径数センチのビー玉を、足の指で地道につかむその足元は、まだまだ簡単には揺らがない。
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