高校を卒業後角界入りをして21年が過ぎ、平成27年九月場所からは旭天鵬(現・友綱親方)、若の里(現・西岩親方)といったベテラン力士の引退により関取最年長となった安美錦(伊勢ヶ濱)。さらに今場所は、自身の持つ昭和以降で最高齢・再入幕記録を39歳6ヶ月に更新した。
 いぶし銀とはまた違い、彼の相撲には華がある。素人も玄人も魅了することができる力士だ。ときに力で相手をねじ伏せて、ときに相手が魔法にかかったような勝ち方をする。土俵際の際どい相撲も多く、行司がどちらに軍配を挙げればいいか迷う一番が多いことから「行司泣かせ」の異名を持つほどだ。ファンの間ではSNS上で「妖術使い」とまで呼ばれている。金星8個、殊勲賞4回、敢闘賞2回、技能賞6回を獲得している彼の相撲人生は「ケガ」と向き合い続けているからこそ今がある。