プロ野球ファンの間で、1人の野球解説者が話題になっている。巨人・中日で捕手として17年間プレーした小田幸平氏だ。現役時代はベンチからのスタートが多かったが、出場機会では確実に仕事を果たし、キャラクターは選手やファンから愛された。そんな小田氏が野球中継の解説を務めると、バッテリーの配球、バントなどの作戦などを事前に「ありそうですね」と予想し、それがことごとく当たる。AbemaTVの中継時でも視聴者から「すごい！」「また当たった」などの声が毎回寄せられている。予想が当たる理由を本人に聞いたところ「（試合の）全体を見ています。職業病ですかね」と、捕手出身らしく試合全体を把握しながらコメントしているようだ。
なぜ予想が当たるのか。これだけ当たると、よく聞かれる質問だという。「たとえば投手のクセを見る時にどこを見ますか？多くはグローブの位置とか、そういう答えになるんです。でも逆に全体を見ていた方が、クセは見やすい。全体を見ていた方が何かを感じることがある。逆に『そこ』というところだけ見ていると、そこしか見えないんですよ」。全体を見渡すことで、普段と異なる部分があれば、それが目の中で違和感として引っ掛かる。いつもはしない仕草、いつもより長い間合い。相手選手の次の一手を読むヒントは、いたるところに散らばっている。
視界から入る情報だけでなく、心理も読んでいる。「ピッチャーとキャッチャーの性格が読めている時は当たっていますね。このキャッチャーならこのサイン出すとか、こういうことを考えているだろうとか。現役時代に一緒にやってきた選手も多いし、ベンチで見ていたことも多かったので。そういう経験や勉強が、解説で活かされているのかなと思うところはありますね」。投手と正面で向き合い、打者の後ろに座る。そこからの視点だけでなく、ベンチに座り横から野球を見たことで、また違うものが確認できたという。
では、どうすれば小田氏のように野球中継を見ながら、展開を予想し当てることができるのか。「ヒントを出すとしたら」と語り出したのは、投手の仕草の一例だった。「ピンチの時とかに、ピッチャーが一度セットポジションに入ってからプレートを外して、ロージン触ったら、80％ぐらいはフォークですかね」とサラリと語った。「考えるのは、フォークを投げる時に『ボールが掴みきれなかったら…』『滑るんじゃないか…』ということ。だからロージンをつける人が多いんです。もし自分がキャッチャーで、ピッチャーがそれをしたら、サインを出し直します。たとえばバッターが古田（敦也）さんみたいな人なら、なおさらですね」。球界を代表する捕手であれば、そんな仕草は見逃さずに痛打されてしまうだろう、ということだ。
今後も小田氏は野球中継に解説として登場する予定。果たして小田氏は、その瞬間に何に気付き、何を考え予想したのか。約3時間の試合中、試合観戦しながら予想対決をしてみるのも、新たな楽しみ方かもしれない。
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