西の花道にひと際大きな体を見せただけで序二段の取組には珍しく、まだ観客がまばらな客席の四方八方から拍手と歓声が上がった。そして、呼出しが「照ノ富士」の四股名を呼び上げると声援はさらにボルテージを増した。
 元大関照ノ富士が5場所ぶりに本場所の土俵に登場した。久々に見る体つきは一回り太った印象を受けるが、鍛え抜かれた肉体とは言い難かった。両膝のケガ、内臓疾患などに苦しんだ元大関は、右四つに組み止めて胸を合わせて前に攻める本来の相撲とは程遠かったが、若野口を叩き込んで1年前の春場所12日目以来、354日ぶりに勝ち名乗りを受けた。