お中元の季節はもう少し先だが、角界では毎年夏場所の時期になるとお中元代わりに、力士や親方衆、贔屓筋といった方々に「粗布」というのし紙をつけて反物を贈る粋な習慣がある。
意匠を凝らしたデザインに四股名や部屋の名前を施した柄は、時代とともにカラフルで派手になる傾向にあるが、基本的に自分以外の人に着てもらうのを前提としているので、染め抜かれた四股名は大き過ぎず、さりげなく描かれているのが普通だ。自分で自分の四股名が入った浴衣を着るのは、野暮というもの。しかし、昨今はそういった力士をたまに見かけることもチラホラ。