平成の大横綱が2場所ぶりに土俵に帰ってくる。平成最後の本場所となった3月の春場所で全勝優勝を果たした横綱・白鵬(宮城野)だが、千秋楽の一番で右上腕を負傷。令和初となった5月の夏場所は全休を強いられた。7月7日からドルフィンズアリーナで始まる名古屋場所には「15日間取りたい」と、出場を決めた。全勝優勝、全休、そして今場所。43度目の優勝を目指す白鵬の敵は、自分の脳に刻まれた「痛み」と「違和感」だ。
 春場所の千秋楽。全勝優勝を決めた一番で、横綱が苦痛に顔をゆがめたシーンでは、多くの相撲ファンが肝を冷やした。力士にとって生命線の上腕。けがが長引く、さらには筋力が落ちることは、力士生命を縮めることに直結すると知っているからだ。幸いにも、夏場所を全休したこともあってか経過も良好。暑い季節も手伝って、体づくりも順調に進んだ。場所中、会場に飾る七夕の短冊にも「V43」と書くほど、状況は上向きだ。