これぞ将棋界の「最速最強」だ。持ち時間5分、1手につき5秒が加算される将棋の超早指し戦「第2回AbemaTVトーナメント」の1回戦(三番勝負)が7月7日に放送され、藤井聡太七段(16)が増田康宏六段(21)に2-0のストレート勝ちを収め、準決勝に進出した。準決勝では、予選から6戦全勝で勝ち上がってきたベテラン木村一基九段(46)と対戦する。
約1年ぶりの超早指し棋戦。高校生活に、多数組まれる公式戦、イベントで多忙を極めるため「今回はほとんど練習していない」と準備期間を作る暇がなかったが、その強さには一点の曇りもなかった。後手番の第1局では、増田六段が通常の対局以上に激しく切り込まれた。「どんどん攻め込まれる展開になってしまった」と、想定以上に持ち時間を消費してしまい窮地に追い込まれたものの、ここから挽回できるのも地力がアップした証し。見事に挽回し、118手で先勝した。
先手番の第2局も白熱した。得意の角換わりに対して、増田六段は「自信を持っている作戦がある」と用意周到だった。そんなライバルの対策をも上回るのが、16歳にして将棋界の中心人物となる若者だ。「非常にお互いの玉が薄くて難解な将棋」と振り返ったが、ハイレベルの指し手の応酬で上回り97手で連勝、ストレート勝ちを決めた。
前回王者として臨んだ今回「プレッシャーというのは全くなくて、久しぶりにこの持ち時間で対局できるというのが楽しみな気持ちでした」と、対局後に語るほど余裕も見せるようになった藤井七段。木村九段との準決勝にも「強敵ですけれども、決断よく自分の将棋が指せればと思っています」と落ち着いた表情で抱負を述べた。16歳で始まった「最速最強」2ndシーズン。これからも超早指し棋戦で、その才をいかんなく発揮する。
敗れた増田六段のコメント かなり悔しいんですけど、昨年に比べてだいぶ2局ともいい勝負になったので、そこらへんは、かなり悔しいですけども満足はしています。(次回は)オファーがあれば、全然引き受けます。次回もし機会があれば、今度は(藤井七段に)ぜひ勝ちたいなと思ってます。
◆AbemaTVトーナメント 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治九段の着想から生まれた、独自のルールで行われる超早指しによるトーナメント戦。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生九段が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選A~Cブロック(各4人)は、三番勝負を2回制した棋士2人が、本戦への出場権を手にする。本戦トーナメントは8人で行われ、前回優勝者の藤井聡太七段、タイトルホルダーとして渡辺明二冠がシードとなっている。
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