8月22日。甲子園決勝。星稜のエース・奥川恭伸は、甲子園優勝に一歩届かなかった。
試合終了時は笑顔だった奥川に涙が溢れてきたのは、閉会式の時。「中学校の時の顧問の先生に(スタンドから)声をかけてもらって、こみあげてくるものがありました」。恩師からの「(最後まで)ちゃんとしろよ」と温かい言葉をかけてもらい、こらえきれなかった。
それでも閉会式後には笑顔に戻る。これが奥川恭伸という男だ。優勝した履正社のエース・清水大成とともに、マウンドの土を集める。「ここまで来られて幸せだった。甲子園球場にありがとうという気持ちと、マウンドに立たせていただいた感謝の気持ちで土を集めました。入学当初は1回出られれば良いかなと思っていた甲子園。仲間に助けてもらって4回も来させてもらった。幸せ者です」。そう言った奥川。あれから2日。捕手の山瀬慎之助とともに今夜(24日)、2年連続となる高校日本代表に合流。第29回WBSC U-18ベースボールワールドカップ(8月30~9月8日、韓国・機張)で世界の頂点を目指す。