重厚感たっぷり、実績・貫禄十分の「レジェンドチーム」が結成された。プロ将棋界初の団体戦となった「第3回AbemaTVトーナメント」において、大会に先立って行われたドラフト会議の模様が4月4日に放送。全12チーム、計36棋士の出場が決まる中、佐藤康光九段(50)は1巡目に森内俊之九段(49)、2巡目に谷川浩司九段(57)を指名した。永世名人2人に永世棋聖1人、新旧の日本将棋連盟会長など、若手棋士にとっては強烈なプレッシャーを与える3人組が誕生した。
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算という超早指しルールにおいて、勢いと判断力に優れた若手棋士が多数指名される中、異彩と威圧感を放ったのがこのレジェンドチームだった。現在の将棋連盟会長でもある実力者・佐藤康九段は、ドラフト会議後に「実績的には断トツのお二人を選ばせていただきました。将棋も素晴らしいですが、人間性もすばらしい。役員としての経験も共有させていただいていて、そういう意味ではわかりあえている」と指名理由を明かし、さらには「この中では断トツに年長になってしまいましたが、本気出せば強いんですよというところをお見せしたいと思います。みなさん認知を改めていただきたい、そういう意識で臨みたい」と、後輩たちに強烈な“口撃”を見舞った。
昭和、平成の将棋界を牽引してきた3人のチーム結成は、ファンだけでなく若手・中堅棋士たちにとっても大興奮の出来事だ。ドラフト会議の模様を放送席で見守っていた藤森哲也五段(32)が「すごいチームですよね!この(リーダーの)中で谷川先生を選べるのは佐藤会長だけ」と語れば、戸辺誠七段(33)も「当然ながら谷川先生と同じチームでやりたい、お願いしたいと思うんですけど、恐れ多いじゃないですか。谷川先生を指名するって、ちょっと言いにくい。やっぱりここは佐藤会長が『谷川先生、一緒にやりましょう』っていうのがいいですよね。それに一緒にやるのが森内九段。まさに夢のチーム」とまくしたてた。
プロ将棋界初の試みだからこそ実現した全員が名人経験者というレジェンド3人によるチーム。視聴者からも「夢がある」「会長のところが濃い」「会長はエンターテイナー」と絶賛の嵐。戦いに挑む限りは、若手だろうとなんだろうとねじ伏せるつもりで行く。そんな凄みを感じられる棋戦になってきた。
◆12チームの顔ぶれ(左がリーダー)
渡辺明三冠、近藤誠也七段、石井健太郎五段
木村一基王位、行方尚史九段、野月浩貴八段
佐藤康光九段、森内俊之九段、谷川浩司九段
三浦弘行九段、本田奎五段、高野智史五段
広瀬章人八段、青嶋未来五段、黒沢怜生五段
糸谷哲郎八段、高見泰地七段、都成竜馬六段
羽生善治九段、鈴木大介九段、三枚堂達也七段
◆第3回AbemaTVトーナメント
第1回、第2回は個人戦として開催。羽生善治九段の着想から生まれた持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算されるフィッシャールールは、チェスなどで用いられるもの。1回の対戦は三番勝負。過去2度の大会は、いずれも藤井聡太七段が優勝した。第3回からはドラフトを経て構成される3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝チームには賞金1000万円が贈られる。