持ち時間5分、1手指すごとに5秒が加算される将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Aリーグ、チーム豊島VSチーム三浦が4月18日に放送され、先鋒戦で斎藤明日斗四段(21)が高野智史五段(26)との三番勝負に2勝1敗で勝利、+1ポイントを獲得した。
▶映像:斎藤明日斗四段が勝ち越しを決めた高野智史五段戦・第3局
溢れる若さと考え抜いた作戦で、昨期の新人王を打ち破った。チーム久保戦に引き続き、先鋒を任されての第1局。相掛かりの出だしから、得意戦法であるひねり飛車を採用。近年では使い手がめっきり減った戦法だが、高野五段のミスにも乗じて一気に畳み掛けた。わずか67手の短手数で圧勝。自ら「うまく勢いよく指せた」と振り返る快勝で、弾みをつけた。
2局目は高野五段の反撃にあい、1勝1敗で迎えた勝負の3局目。高野五段が一手損角換わりを採用する中、「自分らしい将棋を指せることに集中」すると、終盤の激しい殴り合いでも、必死に歯を食いしばって攻め切り勝ち。奮闘ぶりに対局を見守っていた豊島将之竜王・名人(29)から「これは100点でしょ」、佐々木勇気七段からも「えらい!えらい!」との言葉が出た。
今回の団体戦では、全12チーム・36棋士が出場するが、年齢では藤井聡太七段(17)に次いで若く、実績もほとんどない。後からプロになった同世代のライバル・本田奎五段(22)にはタイトル挑戦で先を越され、今大会の出場は非公式戦とは言え抜擢と呼べるものだった。ドラフトで指名してくれた豊島竜王・名人への恩返しには勝利しかない。腹を括れていたからこそ、真っすぐに突き進めた。
チームに+1ポイントを持ち帰ったものの中堅戦、大将戦でポイントを落とし、チームは-4ポイントでAリーグの戦いを終えた。決勝トーナメント出場の可能性はかなり低くなったが、斎藤四段が残した熱闘は将棋界にも、そして自分の中にもしっかりと刻まれる。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)