本田奎五段がジャイアントキリング!豊島将之竜王・名人下す 超新星が大仕事/将棋・AbemaTVトーナメント
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 持ち時間5分、1手指すごとに5秒が加算される将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Aリーグ、チーム豊島VSチーム三浦が4月18日に放送され、大将戦で本田奎五段(22)が豊島将之竜王・名人(29)との三番勝負に2勝1敗で勝利、+1ポイントを獲得した。チーム三浦は先鋒戦で-1とするも、中堅戦・大将戦で+1。トータルは+1で、次のチーム久保戦を迎えることになった。一方のチーム豊島は、トータル-4で決勝トーナメント進出はかなり苦しくなった。

▶映像:本田奎五段が大番狂わせを演じた豊島将之竜王・名人との第3局

 サッカー界で「本田」と言えば「圭佑」だが、将棋界で言えば「奎」だ。サッカーにおいて番狂わせを演じることを「ジャイアントキリング」と呼ぶが、将棋界のケイが、まさにそんなビッグサプライズを起こしてみせた。

 実質的なデビュー年度で棋王のタイトル挑戦まで駆け上がった本田五段だが、さすがに将棋界の頂点に立つ豊島竜王・名人に対しては「とにかく将棋が強い。小細工は通用しない。自分の実力が出せても普通は勝機がないんですけど、出さないことには勝利も見えない」と、全力を出してぶつかってもなお負けて当然という気持ちで臨んだ戦いだった。

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 気合を入れて向かった1局目、戦前に感じていた分厚い壁に、見事に跳ね返された。角換わりの戦いになったが、目立ったのは豊島竜王・名人の強さばかり。解説した藤森哲也五段が「強い、強すぎる。抜群の安定感で、とにかく強さが際立った」と話すと、本田五段も「(相手を)焦られるような展開にならなかった。ちょっと届いていない感じだった」と、改めて大きな差を思い知られた。

 続く2局目は、大得意としている相掛かりでぶつかった。形勢が大きく揺れ動く接戦にもつれ込むと、最終盤では一時は詰みがあったところを逃し、逆に投了寸前まで追い詰められた。ただ諦めず、時間のない中で粘ると、勝勢と見られていた豊島竜王・名人がまさかのミス。超早指しという特殊な環境でこそ起きる大逆転がこの局面で起き、まさに九死に一生を得た。

 喜びを味わう暇も余裕もないまま始まった最終、3局目。同じく先手相掛かりで立ち向かうと、豊島竜王・名人はチームメイトの斎藤明日斗四段(21)が得意とするひねり飛車を採用。本田五段にとっては、幼いころからライバルである斎藤明四段の戦法を、豊島竜王・名人の手によって繰り出されるという一局になった。拮抗した序盤・中盤を経由し、白熱した終盤戦。2局目の勝利が精神的な支えとなったのか、わずかなチャンスを見逃さず、ファンも関係者も驚く2連勝で、勝ち越して見せた。

 将棋界では藤井聡太七段(17)が突出する中、20代前半の若きスター候補生が続々と輝きを見せ始めている。本田五段もその一人だ。「豊島竜王・名人に勝てたのは奇跡かもしれないですけど、これからどんな相手とも戦える自信がつきました」。一つの戦いが、棋士を大きく育てることもある。この一局を終えた後の本田五段は、もう別人だ。

本田奎五段がジャイアントキリング!豊島将之竜王・名人下す 超新星が大仕事/将棋・AbemaTVトーナメント
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◆第3回AbemaTVトーナメント

 持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。

◆出場チーム&リーダー

 豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)

ABEMA/将棋チャンネル)

▶映像:本田奎五段が大番狂わせを演じた豊島将之竜王・名人との第3局

本田奎五段の一手が大きな勝利に
本田奎五段の一手が大きな勝利に

▶映像:豊島将之竜王・名人の強さが際立った第1局

解説棋士も「強い、強すぎる」とため息
解説棋士も「強い、強すぎる」とため息
映像:最終盤に二転三転の大激戦となった第2局
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