藤井聡太七段、初のタイトル挑戦がいよいよ明日開幕 タイトル25期“現役最強”の三冠保持者・渡辺明棋聖という「鋼鉄の壁」
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 最年少棋士・藤井聡太七段(17)が、日本中の将棋ファン大注目の中、いよいよ自身初タイトルに挑戦する。6月8日午前9時から開始予定のヒューリック杯棋聖戦五番勝負・第1局。相手は通算タイトル25期を誇り、“現役最強”とも呼ばれる渡辺明棋聖(棋王、王将、36)だ。両者とも中学生時代にプロ入りを果たし、その後の活躍ぶりは将棋ファンであれば知らぬ者がいないほど。藤井七段は、将棋界の頂点で立ちはだかる鋼鉄の壁を、ぶち抜くことができるのか。

▶映像:藤井聡太七段、注目のタイトル戦初戦

 現在、将棋界の8タイトルを持つものは4人しかいない。豊島将之竜王・名人(30)、永瀬拓矢二冠(27)、木村一基王位(46)、そして渡辺三冠だ。タイトル獲得数では羽生善治九段(99期、49)、谷川浩司九段(27期、58)に続いて現役3位だ。羽生九段からは一回り下の世代だが、竜王戦では無類の強さを見せ、9連覇を含む11期で永世竜王の有資格者。もし渡辺三冠がいなければ、羽生九段のタイトル100期など、とうにクリアしていただろうという存在だ。

 将棋の世界において、36歳という年齢は決して若くないが、その強さは近年に入り、再び輝きを取り戻した。2017年度にプロ入り初となる勝率5割未満というスランプに陥り、順位戦A級からB級1組に転落したが、翌2018年からは完全復活。B級1組全勝ですぐにA級復帰を果たすと、続く2019年度はA級でも全勝。初の名人挑戦にたどり着いた。その間に棋王1つだけになっていたタイトルも、棋聖・王将を追加。藤井七段との棋聖戦五番勝負と並行して、名人戦七番勝負も進行することになっており、過密日程による疲労は心配されるものの、モチベーションとしてはピークの状態でこの6月に挑んでくる。

 藤井七段にとっても、この6月は棋聖のタイトルに挑戦しながら、他の棋戦でも対局が続くハードスケジュールだ。王位戦でも挑戦権獲得まであと2つと迫っており、初参加となる順位戦B級2組の対局もある。どの対局も、全力で臨まなければならない強敵揃いで、気が抜けない日々が続く。緊張、疲労とうまく付き合いながら、まさに鋼鉄の壁とも言うべき渡辺三冠にぶつかっていく必要がある。

 過去、両者の対戦は昨年2月、早指し棋戦・朝日杯将棋オープン戦の決勝での1度だけ。その時は藤井七段が勝利、同棋戦の連覇を果たした。それから1年余り。渡辺三冠はさらに充実したが、藤井七段も成長し現在の棋力を示すと言われる「レーティング」では1位にもなった。

 挑戦を受ける渡辺三冠が「間違いなく将棋史に残る戦い」と気合を入れる今回の五番勝負。藤井七段の若さと力は、どこまで通用するのか。この戦いを見届ける人々は、渡辺三冠の言葉を借りれば、歴史の証人になる。

▶映像:藤井聡太七段、注目のタイトル戦初戦

藤井聡太七段、初タイトル戦登場!対する現役最強の渡辺明棋聖 最年少獲得の大記録へ
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▶映像:タイトルへの思いを語る藤井聡太七段

藤井聡太七段、最年少タイトル挑戦で記者会見
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