開成高校で“なりすまし登校”発覚 授業オンライン化で「本人確認」は? 若新雄純氏「学校の“コミュニティ意識”は残る」
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 39年連続東大合格者数日本一、偏差値70を超える全国最難関の開成高等学校で前代未聞の騒動が起きた。

【映像】「半年近く別人が通っていた」名門・開成高校で起きた“なりすまし登校”の実態

 開成高校によると、今年2月、入学試験に合格したA君(仮名)は、入学前に合格者説明会に出席。このとき、開成高校は受験票の写真と本人の顔を照合していたが、新型コロナの影響で入学式は行われず、授業はオンラインで開始。しかし、そのオンライン授業に出席したのは、A君になりすましたB君(仮名)だった。B君は、6月下旬から再開した対面授業にも出席し続けていた。

 誰にも気づかれずに続いた“なりすまし登校”。しかし、“ある書類”が高校に届かなかったことで発覚する。開成高校には通常、入学前に出身中学校から、生徒の生活態度などが記された“指導要録”という書類が送られてくるという。

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 ところが、7月下旬になってもA君の出身中学校から指導要録は届かず、開成高校が問い合わせた。すると、A君の出身中学校からは「すでに別の高校に送付している」という回答がきた。

 A君の出身中学校からの連絡で、“なりすまし”が発覚したのは9月上旬。発覚するまで“なりすまし登校”は半年近く続いていた。結果、入試を受けて合格したA君は除籍処分に、“なりすまし登校”していたB君は立ち入り禁止処分になった。学校側は、A君とB君、共に未成年であることから、2人の関係を明らかにはしていないが、「今後、二度と行われないよう対策を考えていく」としている。

 コロナ禍で進んだオンライン授業。ニュース番組「ABEMAヒルズ」のコメンテーターで慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は、学生が本人であるかどうかは「すぐには気づけないだろう」と語る。

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「A君とB君の話し合いで何があったのかわからないが、確かに今年の春からの(大学の)授業では、1回も直接学生に会ってない。学校は立ち入り禁止で、全てオンラインで(授業が)始まった。言われてみると、どうやって本人確認できるのか疑問で、例えば合格した学生の兄弟・姉妹がオンライン授業にいても、すぐに気づけないと思う。通学となると、なかなか違う人が代わりに行くことは不安かもしれないが、オンライン授業だと別人のままで大丈夫か簡単に試せてしまう。B君もまさに、オンライン授業にA君として出席して、先生とも関係を作っていき、その上で6月に登校したのだろう」

 若新氏は「人数制限なく無限に参加できる学びの場もあって良い」とした上で、高校や大学のオンライン授業は「参加する資格を得た人だけが参加できる場に意味があるのだろう」と改めて定義を示す。

 さらに、番組後の取材に対して「オンライン授業だから誰でも自由に聴講して良いわけでもないと思う。学校というものは、試験で選抜されて、授業料を払って、その場に参加する資格を得た人だけが参加できるといった、一定の条件の元に成り立つコミュニティとしての役割が強い。高校と大学は違うと思うが、授業で先生の話を聞くことだけが学校ではなく、同じ参加資格を持った人たちがそこに集い、学び合う。授業がオンライン化しても、同級生や学友という概念はまだ根強く、コミュニティへの参加に大きな意味がある。その上での新しい学びの場のあり方が求められていくのでは」と語った。

 同級生や学友などの“コミュニティ意識”について「オンライン化の時代でも残る」とした若新氏。オンライン化が今後人間関係にどのような発展をもたらすか、注目したい。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

【映像】開成高校でなりすまし登校、目的は?
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