大きな対局になればなるほど、時間が長くなるのが将棋の世界。12月5、6日に行われる竜王戦七番勝負の第5局は、持ち時間各8時間の2日制だ。1日につき昼食1回、午前・午後におやつが1回ずつ。栄養補給に心配はないが、どこかで頭と体を休める時間を作るのも大事なポイントだ。勝てば初防衛となる豊島将之竜王(叡王、30)は、休憩時間にしっかりと体を休めるタイプ。超トップ棋士が思わぬところで寝ていることもあり、後輩の若手棋士が驚くエピソードが生まれていた。
【中継】豊島竜王、勝てば初防衛!羽生九段、踏ん張るか 竜王戦第5局
豊島竜王が、予想外の場所で寝ていたところを発見したのは近藤誠也七段(24)。ABEMAの番組に出演した際、「食事明けはちょっと眠くなる時間帯。2時過ぎあたりは、私も眠くなるし、気が緩みがちにもなりますね」と体験談を語っていたが、続いて明かしたのは豊島竜王のことだった。
近藤七段
豊島竜王はお昼休憩の時に、結構部屋で寝られていることが多いですね。私が関西将棋会館に行った時、4階で休める場所を探していました。ただ、会議をしていて部屋が使えなかったんですよね。そうしたら豊島竜王が意外な場所で寝ていたんです。ベンチで寝ていたんですよ。
豊島竜王と言えば、渡辺明名人(棋王、王将、36)に次いで、序列2位の超トップ棋士。藤井聡太二冠(18)、永瀬拓矢王座(27)を加えて“4強”の一角という表現もされる。穏やかな性格で、無理に自分の都合で休憩スペースを確保しようというタイプでは到底ないが、まさかベンチで寝ているとは誰も思わない。
近藤七段
一瞬、奨励会員の方が休憩しているのかと。アイマスクをされていたので、誰なのかなと思ったんです。よくよく見たら、細身の豊島竜王でびっくりしました。夕食の際は、部屋が空いていて、やはり寝られていたので意識されているのかなと思います。
誰かがベンチでアイマスクをしながら寝ていたら、それだけで十分気になるところだが、改めて確認したところ、その人物が豊島竜王とわかれば、さぞ驚くことだろう。
話の限り、順位戦や竜王戦といった、午前から深夜に及ぶ対局で、その間に寝ていたと思われる。竜王戦は1日目、午後6時ごろに封じ手されるため、仮眠を取る必要があるか微妙なところだが、直後にちょっとした睡眠を取ることで、頭がすっきりすることを経験したことがある人も多いだろう。休憩後、疲れが取れたように晴れやかな表情で対局室に戻ってきたなら、その時はいい仮眠が取れた証拠かもしれない。