将棋の順位戦A級6回戦が12月25日に行われ、豊島将之竜王(30、叡王)が羽生善治九段(50)に128手で勝利した。両者ともに2020年最後の対局だったが、豊島竜王は渡辺明名人(棋王、王将、36)への挑戦権争いに食らいつく4勝目(2敗)。一方の羽生九段は28期連続で守っているA級以上の維持に黄色信号が灯る4敗目(2勝)となった。
10月から12月にかけて行われた竜王戦七番勝負でも熱戦を繰り広げた両者だったが、今年は豊島竜王が大きく勝ち越す1年となった。本局は横歩取りの出だしになると、互角の中盤から、豊島竜王が2時間17分の大長考から放った決断の一手から徐々に有利に。大駒1枚と引き換えに羽生陣を崩すことに成功すると、局面が進むにつれてリードを拡大して終盤に突入した。ところがここから形勢が二転三転する大激戦に。最終盤には一手ごとに勝勢が入れ替わるという一局になったが、最後は羽生九段が投了。これで豊島竜王は対羽生戦について5連勝。対戦成績でも22勝18敗とした。
今期のA級は、5局を終えて4勝1敗の斎藤慎太郎八段(27)がリード。6局を終えた棋士では豊島竜王、広瀬章人八段(33)が4勝2敗で追っている。豊島竜王は既に斎藤八段との直接対決を終えており、自力での挑戦権獲得は消えているが、2敗をキープしてプレッシャーをかけたいところだ。また羽生九段は暫定ながら10人中7番目に。下位2人が降級する中、次局は同じく2勝4敗の稲葉陽八段(32)との直接対決のため、A級残留に向けては大きな一局となりそうだ。
◆A級の成績 ()内は前期成績をもとにした順位
4勝1敗 斎藤慎太郎八段(10)
4勝2敗 豊島将之竜王(1)、広瀬章人八段(2)
3勝3敗 佐藤康光九段(3)、佐藤天彦九段(4)、糸谷哲郎八段(6)、菅井竜也八段(9)
2勝4敗 羽生善治九段(5)、稲葉陽八段(8)
1勝4敗 三浦弘行九段(7)
(ABEMA/将棋チャンネルより)