グレタさんに背中をおされ…20歳の環境活動家・露木志奈 最大の目標は「世界中から環境活動家をなくすこと」
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 2019年9月、国連・気候行動サミット。各国のリーダーが集まったこの会合で、当時16歳だった少女のメッセージが世界中の心を震わせた。

【映像】講演する露木さん

 「人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系は崩壊しつつあります。私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです。あなた方は私たちを裏切っています。しかし、若者たちはあなた方の裏切りに気付き始めています。未来の世代の目は、あなた方に向けられています。もしあなた方が私たちを裏切ることを選ぶなら、私は言います。『あなたたちを絶対に許さない』と」

 スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん。彼女が世界の大人たちに向けた“怒り”は、大きな反響を呼んだ。

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 そして日本にも、グレタさんに背中を押され、気候変動を食い止めるための活動を行う若者がいる。

 「名前は露木志奈といいます。今は環境活動家っていう活動をやらせてもらっていて、気候変動とか環境問題と聞くとほんとつまらないイメージがあると思うですけど、つまらないお話はしないので最後まで聞いていただけたらなと思います」

 露木志奈(つゆき・しいな)さん、20歳。環境活動家として、全国の学校で講演を行い、これまで5000人以上の学生に自身の経験など地球を守るためのメッセージを届けている。

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 「地球っていう誰にとっても必要な場所がどんどん悪化してきていて、ものすごく悪化していって最終的に住めなくなった時に、自分が将来やりたいなって思っていることができるのかなって。そう考えた時に、まずこの問題に取り組んで行かないと何も始まらないなって思ったから、休学をして講演会をしているってことです」

 「同世代に刺さるメッセージを届けたい」という思いから、あえて中高生に向けて講演を行っているという露木さん。今彼女が最も達成したい目標、それは「世界から環境活動家を無くすこと」だという。

 「活動の目標として最初に掲げているのは、『環境活動家を無くしたい』というもの。まずはみんなに知ってもらって、当たり前にアクションができるような世の中にしたいと思って、今は全国の小学校から大学までを回りながら講演会をさせてもらってます」

 「若い人が当たり前にアクションを起こせるように」――。そんな思いで日々講演を行う露木さんの原点は、東南アジアでの経験だった。

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 日本の中学校を卒業後、英語を学ぶため単身インドネシアに渡った露木さん。その時に通っていたのが“世界一エコな学校”と呼ばれる「グリーンスクールバリ」だった。この学校はジャングルの中にある竹で出来た校舎で、「持続可能な世界をつくるリーダーを育てる」をコンセプトに掲げている。そこで過ごした日々が今の活動につながっていると話す。

 「『気候変動とは?』というすごくベーシックな授業だったんですけど、そこでゴミ山に訪れたりとかして。ニュースとかで見ていたものを目の前にする機会があって、『環境問題って本当に起きてるんだ』というのを初めて知って、そこからは危機感を持ちましたね」

 生まれて初めて直面した“世界の現実”。「自分にも何か出来ることはないか?」。自問自答の日々を過ごしていた露木さんの背中を押したのは、2019年に自身が参加したCOP24で出会った、グレタ・トゥーンベリさんの「行動すれば、希望は必ずついてくる。だから行動しよう」という言葉だった。

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 「気候変動の問題って大きすぎてどこから手をつけていいかわからない。何も誰もアクションを起こさないというのがその時から問題になっているのかなと思っていた中で、グレタさんは一人でストライキを始めて、行動していけば希望はついてくるよということを、自分の実体験をもとに話されているのを聞いて、『は!そうだな』って自分も行動していきたいなって」

 グリーンスクール在学時には、妹が化粧品で肌荒れを起こしたことをきっかけに「環境と肌に優しいコスメ」ブランドを立ち上げる。コスメづくりのワークショップなども開催。卒業スピーチでは現地の人々に向けてこう訴えた。

 「私たちが買うものが地球にどのように影響するか、皆さんに考えてほしい。私の製品は、地球に害を与えることなく、より持続可能な方法で作り、使える方法のほんの一例です。化粧品と気候変動? 関連づけることは難しいかもしれません。しかし、私たちが消費者として何を買うかという選択はとても大切なのです。『私たちの選択は世界を変える』。私は今日、皆さんに自身の人生をしっかり見て、どうすれば世の中を改善できるかを考えてほしいです」

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 3年間の活動で「大人になるまで待たなくていい」「何かを始めるまでに待たなくても今やればいい」ということが糧になっているという露木さん。卒業後は大学に進学するも休学し、現在の環境問題を訴える講演活動を開始した。露木さんがいま最も危惧している世界の課題、それは「無意識な選択」だと話す。

 「環境に対してアクションしていない人がいけないとは全く思っていない。そういう人たちも環境に対してアクションをしたくなくてしていないわけではないので。そもそも知らないという人たちもたくさんいる訳だし、だから自分は『伝えたい』『知ってほしい』ということで公演させてもらっている。日々の選択というものにまず目を向けてもらえるようなことをしていきたいなって思います.」

 海の向こう側で経験した出会いと学び。そして、これからの未来を伝えるために、露木さんはこれからも講演を続けていきたいと話す。

 「2050年までに地球の(上昇気温を)1.5度未満に下げるというところを目標にしていて、その上で講演の具体的な数字を言うと21万人を目標にしているんです。そこを目標に講演会をやり続けたいとは思っています」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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