将棋の順位戦A級最終局(第9局)が2月26日に一斉に行われ、斎藤慎太郎八段(27)が佐藤天彦九段(33)に163手で勝利、今期成績を8勝1敗とし、渡辺明名人(棋王、王将、36)への挑戦権を獲得した。斎藤八段はA級初参戦での挑戦権獲得。端正なルックスでも知られる“西の王子”が、“現役最強”と名高い渡辺名人という大きな壁に挑む。
斎藤八段は、2012年4月に四段昇段。2015年度、2016年度に2年連続で勝率一位賞を獲得するなど、早い段階から高勝率を誇ると、2018年度には王座のタイトルを獲得。今期は初めてA級に参戦すると、開幕から4連勝。第5局で初黒星を喫するも、その後もすぐに立て直し、またも4連勝とし、後続に2差をつける堂々たる成績で、初の挑戦権を獲得した。
最終局は、対戦相手の佐藤九段が得意とする横歩取りからスタート。中盤まで互角の戦いを繰り広げたが、動きが難しかった飛車をうまくさばきバランスを整えると、徐々に優勢に。先に自陣を崩されたかに見えたが、絶妙なタイミングで攻めに転じると、さらにリードの拡大に成功。最終盤でも難しい寄せ合いになったが、息詰まる1分将棋の中でも逆転を許さず、名人挑戦を自ら祝う勝利を手にした。
対局後、斎藤八段は今期8勝1敗について「1期目で実力以上の成績になったかなと思います。急所で集中力を切らさずに出来た」と語ると、名人戦に向けては「初めての2日制のタイトル戦ですので、まずはしっかり準備や対策を整えて、雰囲気に飲まれず自分の将棋で戦いと思っています」と、凛々しく語った。
名人戦は、佐藤九段が2016年度から3連覇を果たしたが、2019年度は豊島将之竜王(叡王、30)、2020年度は渡辺名人と、2年連続で新名人が誕生している。
【順位戦A級 最終成績】※()内は順位
8勝1敗 斎藤慎太郎八段(10)=挑戦権獲得
6勝3敗 豊島将之竜王(1)、広瀬章人八段(2)
4勝5敗 佐藤康光九段(3)、佐藤天彦九段(4)、羽生善治九段(5)
2勝7敗 稲葉陽八段(8)=降級
1勝8敗 三浦弘行九段(7)=降級
(ABEMA/将棋チャンネルより)